「ジュンヤワタナベ・コムデギャルソン・マン」はこのほど、フィジカル形式のファッションショーで22年春夏コレクションを披露した。ジェイミー・ホークスワースによるブーダンの写真が飾られた会場に、エスニックのムードを取り入れた新作が登場する。サルエルパンツ、タイパンツ、クロップトパンツにギャザードレープたっぷりのパンツ。軽やかなパンツが充実する。そこに組み合わせるのはアジアの象徴的な柄や写真をのせたTシャツ。そのグラフィックはアジアのアーティストによるものだ。ハスの花の写真にコイの連続柄、シーサーのような魔よけのキャラクターといった柄だ。
テーラードジャケットやワークジャケットは裏地にもジャカードやプリントでアジアのエッセンスをのせていく。それをインサイドアウトで着たり、Tシャツの柄と重ねたり。ブレザーと組み合わせたチノパンツも軽快なクロップト丈で、トラディショナルなイメージよりも軽快さが強調される。旅行に行くこともままならない今、爽やかなアジアのエッセンスがどこか懐かしい風を運んでくる。同時に、タイパンツや量感のあるクロップトパンツは、部屋で過ごす快適さも持ち合わせている。「リーバイス」や「ディッキーズ」のスタンダードなパンツをエスニックなアイテムへと変身させた。アジア特有の気候や文化が育んだアイテムやスタイルに、今の時代を重ね合わせている。
(小笠原拓郎)