COLUMN from JFW-IFF 売る理由、作る理由を見つめ直す

2014/07/01 09:49 更新


 「チューイングガムが売れない一因にはスマホがある」と、大手食品メーカーの営業部長。「手持ち無沙汰ときに噛まれていたガムが、スマホのゲームやSNSに時間を奪われて売れなくなった」と話していました。

 「風が吹けば桶屋が儲かる」とは関連のないコト、モノが作用しあっていることを指す古いことわざですが、グローバル時代・IT時代の現代は、モノとモノの関係性が非常に複雑になっているのです。

 ファッション商品の売れ行きも、思いも知れない商品や要因の影響があるかもしれません。
 いつまでも商品の機能性、価格、デザインで動いているわけではないでしょう。ガムの事例のように使用シーンや時間など別の視点からの分析が必要といえそうです。特にネットショッピングが浸透してショールーミング(オフラインtoオンライン)、ウェブルーミング(オンラインtoオフライン)と販売ルールが変わっている現代は売れる理由・売れない理由も単純ではないのです。たとえば雨の日。売り場では客足が減るが、ネットショッピングは逆に売り上げが伸びることもあるのです。

 サントリーがウイスキーの復活を仕掛けたときに、打ち出したのは「飲料品質」でした。味や価格設定ではなく、ウイスキーを割る水、氷、グラスなど呑み方の条件を見直したのです。加えて、先輩が後輩と生き方や仕事について呑みながら語り、教える、ウイスキーの教育機能、コミュニケーション機能を再定義したのです。その延長にハイボール人気が生まれたのです。

 「既存の延長に成功はない」。イノベーションを成し遂げ、パラダイムシフトを実現したもののみが生き残れると肝に銘じて、売れない理由を多様な角度から分析してみましょう。売り手や作り手が買って欲しい理由を納得するまで議論するのも無駄ではないはずです。

 新たな発想で商品、打ち出し方を試行する。それも展示会の役割です。(2014/06/30、展示会のお知らせのコラムより)



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