ビスポークランジェリー「チヨノ・アン」 10周年機にアトリエブティックをオープン

2024/05/10 06:27 更新


イェガー千代乃・アンさん

 ビスポークランジェリーを展開する「チヨノ・アン」が、ブランド設立10周年の節目に、アトリエを東京・世田谷の羽根木に移転した。この地はブランド設立当初、デザイナーのイェガー千代乃・アンさんが住んでいた家の窓から見えていた場所で、当時「いつかここにアトリエを」との思いを抱いていた場所。10周年の節目にその夢を実現させた。

 新アトリエは3層で、3階がオーダーメイドを予約した客専用のフィッティング・コンサルテーションを行うビスポークサロン、2階はミシンが並ぶアトリエ、1階はメンバーズブティックとなる。

既製品も販売

 これまで完全受注生産で、ECや催事での販売を行ってきたが、メンバーズブティックでは、ブランド設立以来、初めて既製品を販売する。

4月26日にオープンした初のメンバーズブティック

 日本で生まれ、ロンドンとニューヨークで育った千代乃さんは、ロンドン大学SOASで学んだ後、早稲田大学へ留学。在学中に女性の明治維新の下着の変遷が女性の服装や精神的解放にもたらした影響を研究した。さらに英デ・モントフォート大学院で「ビスポーク」によるランジェリーデザインの研究で修士号を取得。ロンドンのサビル・ローで伝統的なテーラー技術に触れる経験を経て、14年ブランドを設立した。 

同じ思いで続けたい

 千代乃さんにこの10年でのターニングポイントを聞くと、17年の伊勢丹新宿本店での期間限定イベントをあげた。「多くのお客様の採寸・フィッティングができた経験は大きかった」と振り返る。メディアも知名度アップを後押しした。19年にテレビ番組『情熱大陸』に出演し、同年にフリーアナウンサー・タレントの田中みな実さんが発表した写真集で同ブランドのランジェリーを着用したことで注目が集まり、客層も一気に広がった。

 様々な体形と向き合うことで、「アトリエの技術が向上し、下着に対するあらゆる考え方や要望があることを知ることができた」と言う。知名度が上がるに伴い協業などの誘いも増えたが「多くの女性に、自分のありのままの体形を愛し、自信を持って幸せになってほしい」という創業時からの思いを貫き、「体を抑えつけるのものではなく、心身を世界へ解き放つようなランジェリー」を10年間作り続けてきた。

 8月には伊勢丹新宿本店の下着売り場での常設店開設を予定している。千代乃さんは「創業時の私を忘れず、その時の夢に忠実に、いい意味でこのまま変わらず同じビジネスを続けられたらうれしい」と語る。その揺るがない信念が10年間ファンを増やし続けてきた魅力だろう。 

10周年記念のシルクキャミソール

(ライター・川原好恵)



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