「ショーメ」は、大阪・関西万博2025のフランス館で、エキシビション〝ショーメ、自然美への賛歌〟を9月1日から開催中だ。245年前に、創業者マリーエティエンヌ・ニトーによって確立された「自然主義のジュエラー」としてのアイデンティティーを、映像も交えた没入空間で体験できる。
最初の展示スペースには、ヘリテージピースとして麦の穂、パンジー、翼をかたどった3点のティアラが飾られている。「この三つを選んだのは、ショーメの自然に対する思いを最も如実に表しているからです」と、ショーメのヘリテージディレクター、ヴィオレーヌ・ビゴ氏。豊穣を表す麦の穂のティアラは1811年頃、ナポレオンの命を受けたニトーによって作られた。ダイヤモンドの穂が豊かに重なり、穂先が風になびくようなラインを描く。パンジーのティアラは1850年にジャンバティスト・フォッサンが手掛けた。花びらが震えるよう細工され、かれんな美しさを写実的に表現している。

1908年作の、ブローチにもなる翼のティアラはホイットニー美術館創始者として知られるペイン・ホイットニー夫人が購入したストーリーを持つ。プラチナ製の一対の翼が、数千個のダイヤモンドとショーメが特許を持つ特殊なエマイユで装飾されている。ジュエリーが納められたケースの周囲には関連するモチーフや日本の自然を映すモニターが配置され、空間にみずみずしい動きを与える。
もう一つのスペースは、人気のアイコンであるミツバチとその巣をグラフィカルに解釈した現行のコレクション「ビードゥショーメ」のネックレスをはじめ、リングからバングルをグラデーションのように配した展示などが見られる。ハニカムの中にいるような、はちみつ色のモダンな空間演出も面白い。

万博が閉幕する10月13日まで公開されている。