ファッション・小売向けPLM(製品ライフサイクル管理)ソリューションのトップベンダーであるセントリックソフトウェア(以下セントリック)の日本での事業が好調だ。北米、欧州、アジア地域の各マーケットで多くの顧客を有するセントリックは国内でも大手アパレル企業やオリンピックのスポンサー企業を務めたスポーツ・フットウエア企業などに活用されてきた。この4月には丸紅が同社のPLMの導入を決定したとのプレスリリースが発表されている。セントリックソフトウエア株式会社でセールスディレクターを務める橋永重弘氏に同社の最新動向について聞いた。
「最近はDX推進や企業の枠を超えた協業への待った無しのニーズの高まりによりPLMに対する関心の高まりを肌で感じています。直近の約6か月の間に国内大手ブランド、D2C成長企業、大手総合商社にてセントリックPLMをご採用いただいたことも、日本のお客様にセントリックをより身近な存在に感じてもらえている理由になっているのではないでしょうか?また、セントリックの米国本社も日本市場を急成長が見込める特別なマーケットと見込んでおり、本社からの信頼と理解を得て、国内マーケティング活動、人員採用の面で積極的に活動ができるようになってきた。」と橋永氏は語る。
同社では、3月16日に繊研新聞社主催ファッションDX DAYs 2022のオンラインセミナーにて、「ここが変だよ、日本のファッションDX」というタイトルのセッションを行った。同セッションにはアジアパシフィック地域/日本でプロジェクトディレクターを務めるキャリ・パン氏、日本市場でプリセールス・コンサルタントを務めるテレサ・ジャン氏、日本事業の営業責任者である橋永氏が参加した。テレビの情報番組風のスタイルで進行したセッションでは従業員の多様性とユニークさを誇るセントリック社の一面を知ることができる。(このセッションのリプレイ動画はこちらから視聴が可能)
プリセールスのジャン氏は、「DXがバズワードとなっているが、海外も国内も、5年前も今もPLMプロジェクトに求められるゴールは本質的には変わっていない」「商社様であれば、お客様であるアパレル企業とサプライヤー企業の間に立ち、膨大な種類や数の情報をやり取りしている。社内外の関係者と様々なエクセルファイルをメールでやりとりしているが、情報が溢れ、必要なデータを検索するだけに時間を使わざるを得ないと言う現実がある。基本的なことかもしれないが、オフラインのデータの二重管理、属人的作業を止め、データの一元化、業務の標準化、アパレル企業の財産であるデザインや仕様の情報をしっかりと管理するにはシステムが不可欠」と説明した。パン氏は日本企業の特徴として、エクセルからの発想が多いことを挙げた。「DXの観点では最新の正確なデータで内容が確認でき目的を達成できれば良いはずだが、従来通りに紙やエクセルに出力し、目でデータを確認をしたいという要望を受けることもある。」「プロジェクトではトップダウンの意思決定が不可欠であり、業務フローを短期でまとめる必要がある。幸いなことに、今までのセントリックの国内プロジェクトではお客様に恵まれ、お客様が強いオーナーシップの意識を持って進めることができた。お蔭様で100%の導入プロジェクト成功を実現している」と語った。最後にジャン氏は「日本でも多くの成功事例が出てきており、セントリックは日本のアパレルや小売のお客様に適したこれまでのノウハウを十分に生かした柔軟なご提案を行っています。是非、我々と一緒にDX推進を頑張りましょう」と熱意を語った。
セントリックは4月6日から8日にかけて東京ビッグサイトで開催されたファッションDX EXPOにも出展し、同社のブースはブランド・商社・小売など幅広い業種からの多くの来場者で賑わった。「お客様のPLMソリューションへの関心も高く、役員クラス、部長クラス、現場のマネジャーなど幅広い層のお客様と直接対話することができた。お客様に説明を進めていると会話が盛り上がり、実機でのデモンストレーションを何度も実施しました。お客様からのご要望に応じ、その場でコンフィグレーション(設定)を変更し、柔軟に対応できることを目の前でお見せすると、お客様の顔が驚きの表情に変わっていくのを何度も目にしました。」「大手のお客様向けだけではなく、中堅規模のお客様でもセントリックを活用できることをお伝えすることができたのではないか」と橋永氏は話す。「最近のお客様の傾向としてシステムの検討から決定に至るまでの期間、またプロジェクトのキックオフから稼働までのサイクルが圧倒的に短くなってきている。今まではとても無理だと考えられていた日本企業での数ヶ月でのPLMシステム稼働が現実的な選択肢であることをさらに市場に訴求していきたい」と続けた。
きたる5月18日には世界的な新型コロナウイルス感染拡大以降、同社にとっては世界で初めての開催となる大規模なプライベートカンファレンスを日本で行う予定だ。同カンファレンスでは、セントリックPLMの導入を進めているオンワード樫山、yutori、丸紅の3社がパネルディスカッションに参加する予定だという。登壇予定者には、セントリック本社のエグゼクティブの名前も並んでいる。
「5月18日に開催するCentric PLM Day Tokyo を最新のセントリックのソリューションの全貌を日本のお客様にお伝えする機会としたい」橋永氏は続ける。「セントリックはこの道一筋にPLMソリューションの開発提供を続けており、この分野ではいわば老舗企業。世界中のお客様に鍛えられたセントリックが提供するPLMソリューションの価値を日本のお客様に届けていきたい。私自身も生涯のキャリアを通じて、エンタープライズITの世界に関わってきたが、セントリックPLMのコンフィグレーションによる機能実現と柔軟性には正直、ここまでできるのかと本当に驚いた。OOTB( Out Of The Box = 標準機能)の豊富な機能群とアジャイル導入によるシステム実装のスピードはこれまで取り扱ってきたソリューションとは別次元であり、武者震いがするくらい」と興奮を隠さない。「セントリックのプロジェクトに関わったことのあるシステム担当者の皆さんも同じように感じているのではないか?セントリックの日本チームはこれまでも日本でファッションビジネスのシステム実装と運用サポートの経験を重ねてきた、いわばいぶし銀の経験者揃いでありお客様からの評価も高い。業務とITの両面を支援できる少数精鋭のチームでありチームの士気も高く、多様性溢れるグローバル人材は我々の強みだ。」「成長に伴う痛みかもしれないが優秀な人材の補強が喫緊の課題となってきたのは事実。当社の企業文化に合う人材の採用を加速したい。」と語る。
「とにかく今は会社としてのセントリックソフトウエアの認知度向上、PLMソリューションの価値訴求、市場への啓蒙活動に注力したいと考えており、5月18日のカンファレンスは、お客様にとっても効率よくファッションDXとPLMの関係を理解いただける場となるはず。赤坂インターシティカンファレンスの会場で実施される同カンファレンスの内容はオンライン生中継により、ネットでも視聴できるので、関東圏以外のお客様、密を避けたいお客様、製造拠点に駐在している海外勤務のお客様にも是非、オンラインでご覧いただきたい」と結んだ。
同カンファレンスの概要は以下の通り。
ファッション小売向けPLMカンファレンス
Centric PLM Day Tokyo 2022
開催日時:2022年5月18日(水)午前10時30分より午後17時まで
開催場所:赤坂インターシティカンファレンス (溜池山王駅直結)
参加費用:無料 (事前登録が必要)
カンファレンス専用サイト
www.centricsoftware.com/ja/events/centric-plm-day-tokyo-2022/
※1次登録締切4月28日(木) 最終登録締切5月12日(木)
オンサイト50名前後+オンライン参加のハイブリッド型での開催
(新型コロナウイルス感染状況と政府の指針に応じて収容人数を調整します)
※感染対策による人数制限コントロールの観点から、会場でのご聴講は承認制
【イベント概要】
業界をリードするセントリックPLMについて一気に学ぶことができるファッション・小売向けPLMに特化した必見のカンファレンスです。ファッション、小売業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは?製品ライフサイクル管理と訳されるPLMとはどのようなソリューションなのか ? PLM 導入の効果とは? PLM プロジェクト成功の秘訣とは?本カンファレンスではPLM の基本コンセプトから、セントリックPLM の導入事例、セントリックが提供するソリューションの最新動向をご紹介します。セントリックソフトウエアのエグゼクティブによる最新情報のご紹介のほか、国内セントリックPLM導入企業様のご登壇によるパネルディスカッションが予定されています。(パネルディスカッション登壇企業:オンワード樫山様、yutori様、丸紅様 )
企画・制作=繊研新聞社業務局