訪日中国人減少の影響は限定的 外国人客の国籍多様化でカバー CBRE推計

2025/12/10 06:26 更新NEW!


 不動産サービス大手のCBREは、中国政府の渡航自粛呼びかけによる国内リテールへの影響は限定的との見方を示した。

 中国政府による渡航自粛要請以降、日本向けの航空便は減便し、中国人観光客の団体旅行も大きく減っている状況だ。しかし、かつて5割を占めた団体旅行の割合は現在、15.6%にまで減少、一方、個人旅行の割合は25年7~9月で83%だった。個人旅行者の場合、政治と自身の価値観、行動を切り離して考える傾向が強く、影響を受けにくいとみている。外交関係の複雑化による訪日中国人の減少は、尖閣諸島を国有化した12年9~12月などでもみられたが、団体旅行ビザの発給は減少したものの個人観光ビザは増え続けた。

 外国人にとって日本が魅力的な旅行先であることが、中国人の減少を補うという。実質実効為替レート(物価変動の影響を考慮した総合的な円の対外的価値を表す指標)と外国人延べ宿泊者数、外国人の買い物代の関係をみると、円安が進むと外国人延べ宿泊者数も買い物代も伸びる傾向にある。10月まで(欧州は8月まで)の訪日外国人は19年と比較して米国91%増、豪州70%増、欧州59%増、中国1%増、韓国49%増、台湾36%増、香港10%増で、外国人の国籍、地域も多様化している。

 欧米豪からの訪日客は旅行1回当たりの宿泊日数も長いことからホテルの宿泊需要やインバウンド消費を支えると見る。1人当たりの買い物代も欧米豪や東南アジアの増加率が高い傾向。訪日客の多様化がインバウンド消費に寄与し、リテール市場の訪日中国人への依存度は低下している。



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