ビームスは、7月30日までVR(仮想現実)空間で開催しているイベント「バーチャルマーケット」に参加し、23年秋物の商品を3D化したアバター用衣装を販売している。参加は出店企業の中で最多の6回目。VR上の接客に力を入れ、実店舗への送客や若年層に向けた認知度向上、デザイナーブランドとの別注商品など、話題作りにも取り組んでいる。
HIKKY(ヒッキー、東京)が運営するバーチャルマーケットは18年にスタートした。参加者は20代前後の男性が多い。ビームスは同イベントに出店した際、限定イベントやスタッフの接客が話題となり、来場者数を増やしてきた。VR上で来場した客が実店舗を訪れることも多く、普段はビームスで買い物しない客層へのアプローチにもつながっている。
イベントでは「VR上でもおしゃれをしたい」という参加者の声も多いため、初めてデザイナーブランドやバーチャルファッションブランドとの別注商品も企画した。今回の店舗は1階の売り場のほか、屋上にプールとフォトブース、地下にはランウェーを設置し、買い物だけでなくアバターを操作して楽しめる空間にした。7月22日にはVRモデルやインフルエンサーを招いたコンテストも行った。
アバターの衣装を購入できるだけでなく、自社ECサイトと連動して、同じデザインの商品を実際に購入できる。「レイビームス」のビュスティエとミニ丈のスカートのセット、「ノーマティーディー」の別注のワンピース、ビンテージ加工感を表現した「フューチャーアーカイブ」からはスウェットトップの柄違い3種類とデニムアイテム、サイドゴアブーツのセットなど、5スタイルを出した。
バーチャルブランド「セレクトショップ・コルネット」の別注で、初めてアバター専用の水着も販売した。
VR空間でのファッション販売の可能性は未知数だが、ビームスは他社よりも先に取り組むことで、若年層を中心としたVRユーザーの認知度を高めたいと考えている。