米スポーツウエアのデジタルIQ調査

2015/03/12 06:39 更新


 ビジネスインテリジェンスサービス会社のL2(ニューヨーク)が、米国市場で展開されている59のスポーツウエアブランドのデジタル能力を調査した「スポーツウエアデジタルIQインデックス」を発表した。

検証分野は四つで、ブランドのサイトやEC(電子商取引)への投資が40%と最も採点ウエートが高く、デジタルマーケティング(Eメールマーケティング含む)への努力30%、ソーシャルメディア10%、モバイルアプリ20%の配分で総合点を算出して順位をつけた。

 1位はナイキ、2位はザ・ノース・フェイスとアディダスが同点。4位のLLビーンまでが特にレベルが高いと評価された。5位以下はヴァンズ、REI、アンダーアーマー、ニューバランス、ルルレモンアスレティカ、パタゴニアと続く。

新規参入も多く

 L2によると、14年の米国アクティブウエア市場は7%増と堅調だった。14年1月にはH&Mがスポーツウエアコレクションを始めるなど、新規参入も活発だ。

 こうした中、ナイキは昨年、売上高の11%に相当する30億㌦を「需要の創出」に費やした。それに対抗するように、アンダーアーマーは昨年の広告予算を34%増やした。アディダスは、今年の広告費を売上高の14%まで増やすという。アディダスは今後3年間、米国のスポーツ選手とのパートナーシップを強化していく見込みだ。

 ナイキのECにおける昨年の売り上げは42%伸びたが、総売上高に占めるECの売り上げはまだ3%(8億㌦以下)だ。ナイキは17年までにECでの売り上げを総売上高の5・6%に相当する20億㌦にしようとしている。

 一方、アンダーアーマーは13年にマップマイフィットネスを買収し、今年2月には登録会員数8000万人のマイフィットネスパルと登録会員数2000万人のエンドモンドの二つのモバイルアプリプラットフォームを計5億6000万㌦で買収すると発表した。これにより、アンダーアーマーがもつアプリの登録会員数は計1億2000万人となり、同社は世界最大のデジタルヘルス&フィットネスコミュニティーをもっていると主張している。

サービスで遅れ

 しかしサービス面では、スポーツウエアブランドは一般の専門店に比べてやや遅れている。消費者がブランドのサイトで店内の在庫をチェックできるかどうかに関しては、一般の専門店の33%ができるのに対し、スポーツウエアブランドでできるのは14%だった。

オンラインで買って実店舗でピックアップできるサービスを提供しているのは、REIとイースタンマウンテンスポーツの2ブランドのみ。通常の専門店では、13%がこのサービスを提供している。無条件の送料無料提供は、一般の専門店は半数で、スポーツウエアブランドは39%だった。

 オンライン上の決済を最も早くできるのはナイキ、ニューバランス、ルルレモン、REI。一方、ミズノ、エディーバウアー、カーハートは決済に行き着くまで最も複雑と評価された。

 商品を買い物カートに入れながら決済に至らなかった客への対応は、アスリータ、ヘリーハンセン、ラコステ、ニューバランス、アンダーアーマーが数時間以内にメールでフォローするなど、最も早いと評価された。

 ソーシャルメディアではインスタグラムが規模、伸び率、客との関わりの深さで最も有望であるとした。

(ニューヨーク=杉本佳子通信員)



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事