イオングループのデジタル強化戦略の一環で設立されたイオン・シグナ・スポーツ・ユナイテッドが始動した。ヨーロッパで成長する手法を取り入れ、特定の層を顧客化することで事業確立を目指す。さらにつなぐ機能で新たな需要の創出も見込む。岡田元也イオン代表執行役会長の長男で、イオン・シグナを率いることになった岡田尚也社長に聞いた。
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「趣味というには熱の入った方やプロを目指すような方を顧客に想定する、特定のニーズに対応したサービスを提供するスポーツ関連のECです」
ドイツに本社を置き、イオン・シグナに折半出資するシグナ・スポーツ・ユナイテッドは、そうした「特定のニーズ」に応えるサイト80を運営し、ヨーロッパ中心に700億円を売り上げ、20%増の勢いで伸びているという。そのビジネスモデルを導入することで事業の確立を目指す。
バイク、テニスでのECサイト開設を準備しているが、アマゾンや楽天といった形でなく、深掘りした専門店をイメージする。デジタルでの事業化というばかりでなく、「イオンがあまり得意にしてこなかった」領域に幅を広げるものでもある。
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「モノを売れば買ってもらえるわけではありません。価値を伝えることが大事です」
来年のテニスのEC立ち上げに先駆けて7月9日、情報配信サービスアプリ「テニスポイント」を立ち上げた。ドイツで人気のものの日本版で、内外のプロ選手のニュースやギア選び、トレーニングに関するコラムを毎日配信、トップ選手のインタビューなどもあり、日本でジュニア選手に取材もしているという。
ECサイト開設前にコンテンツでアプローチを開始し、先行してコミュニティーの形成を目指す。価格競争ではなく、ストーリーを語り、良さを伝えるものとしてメーカーの理解にもつなげる構えだ。
ECサイトとしてはスポーツバイクの本体、パーツ8000品目を揃えるという「プロバイクショップ」が先行、近く開業する予定。こちらもコミュニティーの形成を志向するが、さらにテクノロジーの活用で専門店としてのサービス提供を目指すという。
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「『アウトフィッター』は想定を上回るオーダーをもらっています。発展させたいところです」
アウトフィッターは、スポンサー企業のロゴを入れることで最大50%割引となるチームユニフォーム作成・購入サイト。ドイツでも始まったばかりのサービスだったが、企業とコミュニティーをつなぐ新たな手法に手応えを得ている。
「イオン」のほか、「カップヌードル」「ポカリスエット」のロゴで始まった。さらに増やすとともに、ローカルの中で企業とチームをつなぐといった形での発展を見込んでいる。