イオンモール成田(千葉県成田市)の第1期改装が計画通りに立ち上がった。成田国際空港に近い立地を生かしてインバウンド(訪日外国人)需要への対応を強めるとともに、地域の支持を捉え直すことが狙い。テナント入れ替え、食分野充実、回遊性向上などを進めた。核店舗のイオン成田店と併せた7月中旬の第2期で改装が完了する。年間来店客数で10%増の1280万人を目指し、売り上げも10%引き上げることを見込んでいる。
(田村光龍)
同SCは00年の開業。06年の増床を経て2層の総賃貸面積6万5000平方メートルに170店が揃う。立地創造型の大型SCとして周辺にカテゴリーキラーなどが集まる中で定着、近年では成田空港に戻るツアーバスが最後に寄るところとしてインバウンド需要を取り込んでいる。
これらにより、18年度も前年並みの売り上げを確保した。ただ、年間100万人が訪れるというインバウンドを除いた売り上げでみると、周辺に張り付いたカテゴリーキラーのほか食品スーパーを備えた施設との競合が激しくなっており、漸減が続いていたという。そこで今回の改装は、インバウンド向けの利便性を高めるとともに、地域からの支持を再度、獲得することを重視した。
4月20日までの第1期では30店を導入、58店を改装・移転した。アパレルでメドック、ルゥデ、ティップトップ、ロデオクラウンズ・ワイドボウルなど、雑貨でアフタヌーンティー・リビングを導入、テナントを入れ替えながら、地域の消費者が東京などに行かずにすむ機能を引き続き打ち出している。
さらに韓国コスメのコス:ムラを導入するなどで1階にコスメゾーンを構築したことをはじめ、ファッション関連でゾーニングを整えている。欠落していた家電もノジマを入れた。
レストラン街の環境を整えるとともにフードコートで半数を入れ替えるなど、食分野は地域を捉え直す基点として強化している。フードコートでは物販ゾーンとの回遊性や視認性を高める仕掛けも盛り込んだ。さらに新たに設けた食物販ゾーン「満福参道」は7月中旬の第2期で完成する。
インバウンド対応では誘導サインを分かりやすくするなどのほか一括免税カウンターを入り口近くに移した。さらに観光バスのバスレーンを増設する計画もあり、利便性を高める。
施設面では開業から20年近く経たことから外装を塗り直すとともに館内も刷新した。南側通路で1階を「ナリタ国際通り」と銘打ちさまざまな世界一のデザインをあしらい、「さくら広場」として大型のフォトスポットも設けた。2階にもインタラクティブコンテンツを入れた子供の遊び場を作り、全館の回遊性向上を目指した。これらにより南側の通行量が3割増えているという。このほかイベントスペースに大型曲面LEDビジョンを導入、20カ所以上にデジタルサイネージも設け、多様な情報発信を行っている。
新店12店、改装・移転7店の第2期を合わせると全体の6割にあたる107店が刷新されることになる。第1期がオープンした5月の売り上げはすでにほほ10%増となっており、第2期でもう一段の押し上げを見込んでいる。