アダストリアは、従業員とその家族の健康増進・疾病予防拡充による「健康重視」の風土醸成を目的に、単一健康健康保険組合設立に動いている。福田三千男会長兼社長は、「アパレル業界が人材不足という課題を抱えるなか、働き方改革にも沿う労働環境を向上していかなければいけない」強い思いのもと、その一環となる健康保険の充実が必要としている。
【関連記事】アダストリア 復調支えるライフスタイル事業 「暮らしの中で楽しむ」に応える
現在、同社が加盟するのは「東京ニットファッション健康保険組合」(宮入正英理事長、KF健保)で、上場企業を含め東京の製造卸や全国展開のアパレル、小売業が加盟。アダストリアは現在のKF健保の事業内容に課題が多く、サービスが合わなくなっているとし、脱退を申し入れている。脱退に動く理由として、アダストリアは女性従業員の比率が圧倒的に高く扶養率は低い、非正規社員比率が高い、年間医療費が低い、全国に在住、障がい者雇用者数が多いなどの特性をあげ、「従業員が満足できるものではない」点が大きいという。
特に、KF健保の契約検診機関(638カ所)の所在地が、地方や郊外SCのショップが多いアダストリアにとって利用しづらいほか、雇用する障がい者が利用可能なサービスが少ない、各種付加給付金の内容が薄いなどの点を指摘する。
そのため、17年4月からKF健保に脱退の申し入れを行っているが、これまで3回否決されている。その間、総会や理事会での説明機会や時代に合ったサービスへの改善がなく、不透明な組合運営に疑念があるという。KF健保の改善が見られず、話し合いもままならない状況に、「再度、脱退の手続きを督促するとともに、手続きを講じられない場合は訴訟の準備をしている」という。
KF健保は取材に応じていない。