【繊研新聞社創業75周年】キーマン3名に聞く 強みを引き出すDX、未来を拓く生かし方

2023/07/20 07:59 更新有料会員限定


 先駆的にデジタル化を進めてきた3社のキーマンに、現時点での重点、そして、これからについて尋ねた。ウェブ3.0の可能性への着手、時間や場所の障壁を取り除くOMO(オンラオンとオフラインの融合)の推進などが語られた。特徴的なのが、デジタルのみならず、そこに人の意思や情熱、実店舗での体験価値を介在させてこそ、強みが発揮できるとの考えを各者が示したこと。リアルとデジタル、それぞれの優れた点をいかに引き出し、組み合わせて行くかが、一層問われる時代となる。

メタバース×リアルで描く可能性

J.フロントリテイリング グループデジタル統括部長執行役常務 林直孝氏

 2013年からパルコでのデジタル化をけん引し、昨年3月からはグループ全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を担う。カスタマーデータドリブン経営の実践、デジタルテクノロジーを使ったビジネスモデルの創造、デジタル人材育成の三つを、注力する業務として掲げる。 

林直孝氏

 ――データ活用を強化中だ。

 百貨店とパルコのデータを統合する基盤があるのが、他にない私たちグループの強み。このデータを分析活用し、顧客理解を深め、サービス向上に役立てる。例えば、パルコではAショップでだけ買い物する方より、B、Cと買い回る方の方がAショップの顧客維持率が高いと分かっている。さらに、心斎橋店のようにパルコと百貨店が隣接するケースだと、単館利用者と比べ、双方の館を使う方の客単価は2倍超から3倍近く高く、維持率も高い。上野の松坂屋と大丸の東京店、渋谷パルコと池袋パルコでも、両方使う方は単館利用者よりLTV(顧客生涯価値)が上がる。ECと実店舗の併買客という面でも同様だが、こうしたデータから購買行動を理解し、最適な組み合わせで最適な情報を届け、サービスや事業に生かす。

 近未来にはテナントさんや取引先の方々とのデータ連携もできればと個人的には思う。消費者の承認を得た上でだが、自社と他社のデータを併用することで、業界の活性化とサービス向上につながる。そういう流れができるとすごくいいと思う。

 ――斬新な新事業も。

この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約すると続きを読むことができます。

ログイン契約して読む

会員の方はこちらからログイン

関連キーワード電子版購読者限定デジタルニュースピックアップニュース



この記事に関連する記事