45R中島正樹取締役に聞く、工場集団「根っこの会」とは

2024/04/15 06:30 更新有料会員限定


 本紙1面に連載中の「価値組宣言!」で、2月21、22日付にフォーティファイブアールピーエムスタジオ「45R」の生産を担う工場の集団、「根っこの会」を取り上げた。この連載は「価値を生み、伝え、持続可能なファッション産業に」と始めたもの。そのテーマにぴったりと浮かんだのが、根っこの会だ。45Rの魅力はその製品の表情であり、クオリティーの高さが同時にオリジナルの顔になる。「同じ仕様書でも、作る手によって違うものができる」とは、アパレルメーカー取材で生産の話を聞くとき、よく出てくる言葉。45Rはオリジナルの価値をどう形にしているのか。その「手」である根っこの会とはどんな会なのか、同社の中島正樹取締役に聞いた。限られた紙面には収録できなかった話を公開する。

(赤間りか=本社編集部)

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服に真剣に向き合う人だけが作ることができる

 私たちは経営理念として「気持ちの良い服をよろこんで着ていただく」と掲げている。シンプルなんだけれど着たときにハッピーになる、着るたびに自分のものになっていく服。普通は買ったときがベストでそこから劣化していくのだろうが、私たちが言う気持ちの良い服とは、着て洗ってを繰り返して価値が上がっていく服だ。

 それは、本当に服が好きで、真剣に向き合う人だけが作ることができる。社長の髙橋慎志は、自分ほど服が好きな人間はいないし、自分ほど24時間服のことを考えている人間は社内にいない、と言っている。もし自分よりもすごい人がいたら、いつでも社長の座を譲ると。それぐらい、原料から全てに対してオリジナルで真剣に向き合うというのが、これまで46年、綿綿とつないできた私たちの企業風土だ。

 根っこの会も、そういう集団。メイド・イン・ジャパンが良いという人がいるが、日本だから優れているわけではないだろう。メイド・イン・チャイナでもイタリーでも、優れた工場はある。根っこの会にはインドの工場も入っている。私たちはメイド・イン・フォーティファイブ。根っこの会はその価値を共有する集団だ。

横のつながりを。最初は「目指せ児島」から

 現在の根っこの会は10年からだが、実は最初に作ったのは99年。00年にニューヨークに出店すると決まっていた前年だ。岡山のデニム産地、児島にどっぷりつかっていた。その前、90年代の初めごろから私たちは海外に出たいと考え、オリジナルのデニムを作ろうと、児島に行っていた。今はそんなことはないが、当時、児島は敷居が高く、新参者が簡単に入り込めるところではなかった。デニム業界の主とでも言えるような人がいて、オリジナルのデニムを作るなんて、あなた方にはできないと最初は帰された。それは、産地を守りたいという意味だったと思う。デニムはロットも大きくリスクもある。本気で取り組むのでなければ受けた工場の方が困るということ。私たちは本気を示すために児島に駐在事務所も置き、なんとか作ってもらえることになった。

 99年の根っこの会は、その児島の話を私たちの取引先に聞いてほしいという気持ちで始めた。産地が横のつながりを持ってやっていかなければだめだ、目指せ児島、という意味合いがあった。

 その目的をある程度実現し、会はいったんやめたが、10年、日本の物作りの産地がどんどん縮小しているとき、私たちだけでも残っていかなければならないと、今の根っこの会を立ち上げた。産地、工場がバラバラでは脱落者が出るかもしれない。夢を共有する会にしよう、世界中の人に喜んで着ていただくために、力を世界で試していこうと。

インディゴ(ジーンズ)、Tシャツ、バンダナは「大切なもの」と呼ぶ定番アイテム

全体の中での役割は、仕様書だけでは伝わらない

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