石田製帽 極細麦の縫製技術を継承 若手育て新ブランドも

2014/02/17 09:59 更新


 国産の高品質な仕上がりを、より多くのお客さんに知ってほしい--。岡山を拠点にする老舗の帽子工場・石田製帽が、販路の開拓に乗り出した。これまで百貨店での販売を中心としてきたが、若手への技術継承が進み、さらなる可能性を求めてJFWインターナショナル・ファッション・フェア(JFW‐IFF)に出展。新規ブランドも増やし、専門店など幅広くアプローチしていく。

 強みは、極細麦の縫製技術。祖業は農作業用の麦わら帽子工場だった。農産業が衰退しつつある中で「3代目の現社長の三男が器用で、独自で極細ブレードの縫製に取り組んだ」ことによって、80年にファッション帽子へと転換した経緯がある。その後、三男の技術を他の兄弟3人に継承して生産体制も拡大。「幅が6ミリ以下で極細ブレードといわれるが、2ミリ半~3ミリのブレードも縫製できる」人材が揃い、質の高いストローハットを縫い上げる国内工場として、帽子業界でも一目置かれるようになった。一時は百貨店問屋への卸売りやOEM(相手先ブランドによる生産)をしていたが、8年程前に製造小売へとかじを切り、デザイン性を向上させながら価値ある製品を提供してきた。

 その間、若手の指導にも取り組み、現在16人いる社員のうち、8人が縫製技術を持つ職人という。うち4人は石田兄弟で、4人は20代半ば~30代後半。先輩から受け継ぐ腕前に若々しいセンスが生かされ、クラシカルでモダンな顔立ちの帽子を作り出している。百貨店の帽子売り場では「デイストロー」「石田製帽謹製」を主力に企画している。

 ユニークなのが、今春夏にデビューする「アンディ・ザ・ハッター」。数年前、東京在住のギタリストだった青年の器用な手を見込んで、帽子職人として引き入れたという。一人前に成長したその職人の名前からブランド名を付けた。ミュージシャンが好みそうな格好いいディテールが特徴だ。小売価格は1万6000~1万8000円。

(2014/02/07付繊研新聞)



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