21~22年秋冬パリ・メンズコレクション いかに服をリアルに感じさせるか

2021/01/25 11:00 更新


 21~22年秋冬パリ・メンズコレクションの序盤は、若手のコレクションが相次いだ。やはり、今シーズンはデジタルでの発表がメインだが、ショーのようにモデルを登場させる映像もあれば、デザイナー本人がコンセプトを説明する映像もある。問題はいかに服をリアルに感じさせられるかにある。

(小笠原拓郎)

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 JWアンダーソンは秋冬メンズとともに、プレフォールのウィメンズコレクションを発表した。ジョナサン・アンダーソン本人によるコレクション解説の映像による発表で、ユルゲン・テラー氏が撮影した。この間のコレクションとも共通するジェンダーフリーやクラフトを意識させるデザインが目立つ。ナイロンベルト付きのモヘヤセーター、パッチワークのハンドニット、ボリュームのあるショールカラーのコートやシアリングブルゾンといったアイテムを揃えた。なかでもヒップからわたりにかけて、スクエアに大きくボリュームをとったパンツのシルエットに驚かされる。袖付けでギャザーを寄せたジャージートップやジャージードレスには、ジェンダーフリーを感じる。野菜のプリントトップやハンドクロシェのアクセサリーも充実した。シアリングアイテムは残反を使っており、ヘアスタイリストのアンソニー・ターナー氏によって染められたという。「ブランドの初期のリバイバルでありながらも、同時にフレッシュなコレクション」とジョナサン・アンダーソン。

JWアンダーソン

 エチュードは様々な公共の場で踊り続ける人の映像を配信した。駅や公園、コインランドリーといった場所で、モデルたちが一心不乱に踊り続けるというシュールな演出。現場で音は流れていないのか、周りにいる人達も全くモデルに近づこうともしない。新作はカーキのMA-1やタイガー柄のカーディガン、ビッグサイズのケーブルセーター、タイダイ風パーカといったアイテム。ストリートの空気とともにレトロな雰囲気もはらんでいる。それは、テーパーのほとんど利いていないストレートパンツのシルエットのせいなのか。70年代や古着の雰囲気も感じさせる。

エチュード

 ヘッド・メイナーのフォルムはやっぱり面白い。淡々とモデルたちが登場して去っていく映像によって、カッティングの面白さが引き立った。ベージュや白のトーン・オン・トーンのコーディネートが軸になるが、そこにサイズ感やデコンストラクト(解体再構築)のテクニックを取り入れる。テーラードジャケットはビッグサイズでドロップショルダーが多いが、上襟は高く極端な肩傾斜を作るものもある。ケープのようなニットパーツも含めて、インナーのニットとデコンストラクトアウターが複雑に絡み合う着方も面白い。以前、フィジカルのファッションショーを見ていて、独特のセンスを感じていたが、もう一方で今一つコマーシャルに抜けきれないところがある。そこが市場にはまると一気にブレイクできるのかもしれない。

ヘッド・メイナー

 タークは初めてパリメンズの公式スケジュールに登場した。学生が新しい生活に向かう様子を思わせるショートムービーで新作を披露した。秋冬は光を感じさせるアイテムが揃う。型押しのようにトロンプルイユ襟を飾ったジャケット、ベルベットのカジュアルなセットアップ、艶やかなコンビネゾンといった光沢をのせたラインが興味深い。日の光を浴びてまぶしく映る花をのせたセットアップもロマンチック。70年代を感じさせる太めのストレートパンツやテーラード襟のショートブルゾンなど、ノスタルジックなムードを秘めたコレクションに仕上がった。

ターク


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