脚光浴びるECの「ストーリーコマース」って?

2017/06/30 04:31 更新


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 「人対人」の消費動向が強まる中で、ECでもスタッフの実名や顔を出しての商品発信、ライフスタイルが分かる読み物、着用シーンを想像させる動画といった「ストーリーコマース」が、脚光を浴びている。商品・店の飽和とともに、商品を選ぶ基準が「自分により合っている商品」を見つけたい要望が強まる。そういった消費者と濃くつながるために、「人が薦め」「商品に熱を込め」「接触時間を増やし」て、商品提案に「参加」してもらう施策が重要になっている。特に中小企業やブランドECにとっては、自社の人材リソースを使って、自社独自の顧客を育て、自社で自由に顧客とコミュニケーションできるサイト作りが欠かせない。


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 ストーリーコマース自体は古くから通販カタログなどで行われきた販売手法。ここにきてECでも商品に「人が薦める+熱量を込める」傾向が強まる。


自らコミュニティー育てる

 スマートフォンの普及で消費者は空き時間に「自分に合った商品をいち早く見つけたい」とネット情報を閲覧する中で、販売者側も「個客に合ったお薦め情報を、客のストレスなく伝えたい」が加速する。品揃えが豊富な大手ECモールは、最新IT(情報技術)を駆使したリコメンド機能やウェブ接客、自社アプリなどを取り入れ、欲しいアイテムが決まっている消費者にとって「最適な価格で選んでもらう場」になっている。

 一方で、自社のファンを作り、価格基準を超えたつながりを重視する企業はストーリーコマースに舵(かじ)を切っている。

 「北欧、暮らしの道具店」サイトを運営するクラシコム(東京)は、典型的なストーリーコマース。売り上げは毎年約40~60%で伸び、17年7月期は20億円を見込む。約1200SKU(在庫最小単位)を扱い、月平均20~30型の新商品を販売。初回入荷分はほぼ数日で売り切れるという。



クラシコムはバイヤーの自宅をライブ中継で紹介


 ストーリー型への転換は11年。きっかけはウェブマーケティング費削減だ。ネット上に広告を打って、新規客を開拓していたが、経費が利益を圧迫。マーケティング費用をゼロに近づけながら成長できる手法を考えて転換した。

 暮らしにまつわる読み物を充実させているのが特徴で、月に100本編集して投稿する。月間訪問者数約160万人、閲覧ページ数は1600万と、読み物を楽しむユーザーが増えている。ユニークなのはコンテンツに反応したデータ分析は行っているが、あえて編集に分析結果を反映させない。最大公約数を狙わず、ニッチに深く刺さる内容を保ち、サイトへの参加意識を高めている。




アクション起こす仮説立て

 おしゃれ好きの若い世代に向けては、動画によるストーリー配信が注目される。動画は着こなしからシーン提案まで多彩に表現が可能で、10~20代と若い世代ほど動画への反応が高い。

 動画制作の3ミニッツ(東京)は自社レディスブランド「エイミーイストワール」「エトレトーキョー」で、画像と動画をSNS(交流サイト)に流してマーケティングし、エイミーは初年度で売り上げ10億円を超える勢い。

 同社では画像も動画もフォローしている属性ごとに伝える情報を変えている。理由はアクションを必ず起こしてもらうため。「様々なフォロワー属性を考えて、服の見え方、着こなしを変える。例えば、〝見ているのに買わない〟のなら、なぜ買わないのかを考えて改善を繰り返す」と藤井亮輔コマース事業部執行役員。



3ミニッツの「エトレトーキョー」は、画像で次の販売商品をストーリー的に表現。その後に動画も配信して関心と高めて購買につなげる


 動画は月50本制作する中で、戦略商品では商品がイメージできるストーリーを10本ほど出して、テストを行う。インスタグラムの24時間で消える仕組みを多用。関心ある層にチェックしてもらう。

 例えば、一見分かりづらい商品画像をSNSに上げ、「商品全体を見たい」という関心を高める。発売1~3日前に要望を検証した動画を流し、一気に購買につなげる。

 単純に画像や動画を上げるのでなく、発信情報に必ずアクションが起こるように考え、起きたユーザーのアクションを解析することで、有名モデルを使わなくてもファンと濃いつながりを生み出している。


仕組み次第で中小ECに活路

 図は自社ECサイトへSNS、メディアから誘導する流れ。ストーリー発信自体が自社アプリのような接触時間拡大とライブ感を生む役割も果たす。

 とはいえ、中小企業がストーリーコマース型のECサイトに対応し、担当者を育成することはなかなか難しい。ストーリーコマースという言葉を商標登録しているシステム企業のカブキ(東京)は、自社で提供するプラットフォームを活用すれば、容易にストーリーコマース型サイトを作ることは可能とする。

 例えば、仕入れた商品に対して深い知識や愛情を持つバイヤーならば、文章・画像・動画で発信するだけで効果が高まる。

 ただ、コンテンツ作成は編集能力や技術も求められる。同社はコンテンツ制作でのコンサルティングも行い、運営を支援する。ストーリーをより深めるための8秒動画や、画面を指でタップすることで360度の商品画像が見える機能にも力を入れている。


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