ベトナムのWeDoイノベーション 技術の応用と創造でサポート

2020/01/04 06:30 更新


《物作り》ベトナムのWeDoイノベーション 技術の応用と創造でサポート 日本企業の開拓に本腰

 素材や加工技術の開発を通じて物作りの課題解決に取り組む――WeDoイノベーション(ベトナム)が、グローバルスポーツブランドとの取引を拡大している。開発技術の提供から踏み込み、ユーザーが抱える課題を聞き出し、技術を応用してカスタマイズした上で解決に導くスタイルが顧客から評価されている。今は日本のアウトドアやスポーツ、靴に関わる企業を主なターゲットに開拓を強めている。

(小堀真嗣)

 創業は16年。靴のかかと部分に使われる資材のヒールカウンターの開発・製造から事業を始めた。「メーカーがなかなかやり切れずに悩みを抱えている」(紅真次郎ディレクター)という技術や商品の〝応用〟と〝創造〟の過程に着目する。「競合メーカーに勝つためには課題の改善にとどまらず、応用、さらには創造まで踏み込むことが重要」。そのサポート役という立場で材料や加工技術及び専用機械などの開発・製造を担う。

 主力商品の一つであるヒールカウンター「リバウンド」は、踏みつけても折れたままになったり、割れたりしない柔軟さと強度が特徴。通常は靴のかかとを踏みつけ続けるとヒールカウンターが劣化し、保形力が損なわれるが、リバウンドは維持できる。製造方法の合理化によってコストを抑え、端材が発生しないよう工夫した省資源の物作りで環境への負荷も抑えている。

柔軟さと強度を備えたヒールカウンター「リバウンド」

 低コストでエコロジカルという特徴が欧米を中心としたグローバルブランドから評価された。1.3ミリと薄く、商品のデザインを妨げない点も「デザイナーから支持を得ている」(紅ディレクター)という。大手のブランドからは月に100万~200万足分を受注し、日本ではゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス」が20年春夏のランニングシューズ「イヴォルブランナー」(1万4800円)とブーツ「ベースキャンプブーティライトⅡ」(1万4000円)に採用した。

「ザ・ノース・フェイス」20年春夏に発売する「イヴォルブランナー」(左)と「ベースキャンプブーティライトⅡ」

 ヒールカウンター以外で打ち出しているのは、防水透湿膜「WeDoフィットメンブレン」。これも自然環境や人体への影響に配慮した材料で、PFC(パーフルオロカーボン類=フッ素化合物)を使わずに防水、防風、透湿機能を備える。「表地との組み合わせに応じて最適な物性にカスタマイズする」という柔軟な対応力も売りだ。生産は中国。将来的にはベトナムでの生産も予定している。

 紅ディレクターは「社名の通り、イノベーションをとても大事に考えている」と話す。「実現は無理かもしれないと思われるようなクレイジーな発想でもどんどん言ってほしいし、それに応えることが私たちの役割」との考えだ。

(繊研新聞本紙19年11月6日付)



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