《視点》持続可能性

2021/03/05 06:23 更新


 サステイナブル(持続可能)な物作りに向けて色々な取り組みがなされているが、おおむね求められているのは、必要な時に必要な分だけを供給する無駄のない物作りや、地球環境に優しい素材。在庫をなるべく持たず、無駄な商品を作らないことは確かに資源・エネルギーの節約につながる。しかし、今まで作りすぎていた商品を減らす努力をすると同時に、業界構造を維持していくことも大事なサステイナブルではないだろうか。

 人口減少で年々市場が縮小するなか、紡績や織布なども含めた繊維産業自体がさらに縮小してしまいかねない。生地生産の段階では染工場を回すためには一定のロットが求められるし、織布工場だって年に数回織機を動かせばいいという話ではなく、一年中仕事が必要だ。生地コンバーターにとっては必要な分だけ商品を供給するために在庫を持たなくてはならず、そのためにはある程度余裕をもって物作りする必要もある。

 サステイナブルは、持続可能性という意味。仕事を通年で続けられる仕組みを構築することも忘れてはならないはずだ。「これはサステイナブルですよ」という素材や製品の多くは環境に優しいものや、不当な労働なく作られましたといったもの。「国内の雇用維持に貢献した素材です」というものがもっとあってもいいはずだ。

(騎)

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