《ローカルでいこう》アパレル縫製のヴァレイ 日本の技術つなぐ取り組みを強化 個人パートナーを全国で組織 子供向け縫製スクールも開講
(小畔能貴)
18年から本格化した「マイホームアトリエ」では、同社とともに服作りを支えてくれる協力者を募っている。例えば、結婚を機にミシンから離れてしまったが、自分のペースでできる仕事を探している人などが対象だ。
ヴァレイがマザー工場としての役割を果たし、テストサンプルをもとに、技術レベルや得意アイテムを判断し、個々のパートナーにベストな仕事を提供する。それぞれがライフスタイルに合わせて自宅で仕事ができ、パートより高い収入が見込めるのも魅力。設備がない人にはミシンも貸し出している。
協力者は100人を計画し、すでに半数に到達した。ほとんどが個人で平均年齢は60歳前後。関西だけでなく、九州から東海、関東まで広がっている。登録者向けに技術の向上を目標とした講習会も行い、ステップアップができる制度もある。
縫製スクールは6月、工場のあるビルの1階で開いたショップ「スマイルシャツ」で開始した。5歳~小学6年生を対象に、スカートやかばんの生地を染める段階から、裁断、ミシンによる仕上げまで毎月計3回で行う。同社の職人が直接、指導している。7月は子供の夏休みの自由研究用にアレンジし、エプロンを1日で作るプログラムを用意した。物作りの魅力を体験してもらい、将来、縫製職人を目指す人材を増やしたい考えだ。

同社は創業3年目。布帛アイテムの小ロット対応を中心に「国内でなければ縫えない」付加価値の高いものを中心に生産し、取引先を増やしている。平均年齢は30代。前期(18年5月期)は売上高が前年比50%以上増え、受注単価、生産枚数ともに伸ばした。
18年からはクラウドファンディングを活用し、オリジナルシャツや阪神タイガースとWWFとの共同プロジェクト商品を提案したり、自社ブランド「カゾク」も立ち上げたりと事業の幅を広げている。消費者に直接商品を発信することで、工場の価値や認知度を高め、OEM(相手先ブランドによる生産)製品もさらに売れていく好循環を目指す。


(繊研新聞本紙7月30日付けから)