《トップに聞く》伊ジージーアールデザイナー兼CEO

2017/11/12 04:29 更新


《トップに聞く》伊ジージーアールデザイナー兼CEO ジャンヴィト・ロッシ氏 日本を拠点にアジアで拡大 タイムレスな美しさ重視

 伊製高級靴「ジャンヴィト・ロッシ」を手掛ける伊ジージーアールがラグジュアリー市場で着々とビジネスを成長させている。日本では、リヴォンとの共同出資でジージーアールジャパンを設立、今夏には婦人靴の百貨店インショップを開設した。

(須田渉美)

 現在、私たちが運営するブティックは、イタリア2店、フランス2店、米国3店、香港1店があります。他に卸売りもしており、それぞれ順調に伸びています。特にこの数年は、米国が好調で、セールスは年率35%前後で成長しています。

 日本は今夏、松屋銀座本店、阪急うめだ本店、伊勢丹新宿本店の3店にインショップを開設することができました。日本と香港を拠点として、今後はアジア市場のビジネスを発展させたいと考えており、近々、路面店を出す計画もあります。

 日本で出店した大きな狙いは、ミラノやパリ同様の環境で十分にコレクションを見てもらうことです。松屋銀座本店にはフルコレクションが揃います。実際に商品を手に取って、繊細な作りやクオリティーの高さを感じてもらい、サービスを受けて、ジャンヴィト・ロッシがどういったブランドであるか、体感してもらいたい。

 中身が伴っていなければ、ラグジュアリーと呼ぶ価値はありません。デザインや品質だけでなく、納品管理、消費者の手に渡るまで、ハイクラスの質を提供できなければ、今後はブランドが存続することも難しくなってくるでしょう。

 小さくても店を持つことは成長を促します。消費者に最適な環境で認識してもらうことが 重要ですし、ミラノでは9月に紳士靴の1号店を開設します。既に扱っているスニーカーに限らず、フォーマルシューズも展開していきます。

 物作りにおいては何より、シルエットを大事にしています。ハイヒールのスティレットヒール、深い曲線でエレガンスを表現したブーティ、ビニル素材を切り替えたプレキシィなど、ジャンヴィト・ロッシを象徴するスタイルがあります。

 トレンドに左右されることなく、シンプルで分かりやすく、タイムレスな美しさが備わった形を、時間をかけて開発していることも、ビジネスを継続的に成長させている要因でしょう。難易度の高い形を実現する上では、自社工場に経験豊かな職人が存在し、意思疎通が取れていることも欠かせません。

 今年の売り上げに関して、具体的な目標数値は掲げていません。良いコレクションを出し続け、店の運営に最善を尽くした結果と考えています。私自身、さらに独自性あるシルエットに挑戦していきますし、可能性はあります。着用する人がデザインに埋没してしまわないよう、パーソナリティーを反映できる女性らしい形を追求していきたいと思っています。

ジャンヴィト・ロッシCEO兼クリエイティブディレクター


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