アパ産協「五輪・パラリンピック中は調達物流見直しを」

2019/06/05 06:27 更新


 日本アパレル・ファッション産業協会は、20年の東京五輪・パラリンピック大会の開催期間に向けて、アパレル・ファッション企業に調達方法の見直しを求め、早期に検討開始することを提案している。協会の通商問題委員会が開催した「通商問題セミナー」で、東京都から、首都圏にヒト・モノが集中し、企業活動に深刻な影響が出る可能性について報告された。

 報告によれば、湾岸エリアには多くの競技会場やプレスセンター、選手村が設置され、周辺エリアの交通需要の激化、交通事情の悪化が想定される。近隣の東京港は現状でも常時混み合い、物流車両の荷待ちが常態化、大会関連の車両は全体で6000台が走行し、臨海エリアでは通常の3割以上の移動時間の遅れが見込まれるという。

 アパレル・ファッション企業は多くが東京港を利用し、輸入通関・入庫、店舗への出荷ルートが沿岸エリアと重なり、物流に大きな影響が出ることが想定される。売り上げの大きな伸びも期待される。このためアパ産協は、東京都が推奨する「大会期間中(前後)における貨物量の抑制」実施の検討の必要があると指摘する。例えば、秋物商品の生産前倒しや納品リードタイムの延長など輸出入のタイミング変更、輸入業者との情報共有・連携による輸入貨物の早期引き取りや輸送ルート変更、早朝・深夜の協議時間に影響されない時間帯での作業などだ。

 こうした見直しのため、関連事業者との情報共有を行い、早期に対策検討することを提案している。通商問題委員会は必要に応じ、東京都や東京税関などから情報を収集し発信する。またSCM推進委員会とともに大会期間中の納品について遅配が起きないよう運送会社との情報共有・連携の重要性を周知徹底させる予定だ。東京都は19年7~9月にトライアルを実施し、事業者の意見を募集し相談を受け付ける。



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