東京中小企業家同友会の実態調査 課題は人材確保・育成

2018/06/21 06:26 更新


 東京と近県の企業家などが加盟する東京中小企業家同友会(会員数2224人)が、「18年度上期会員企業実態調査アンケート」の集計結果を発表した。これによると回答者の過半が「人材の確保・育成」を重視していることがわかった。

 調査期間は4月1日~5月1日、回答数は464件。直近の収益状況では印刷・出版業を除く各業種で半数以上が黒字と回答、今後は各業種とも大半が増収を見込んでいる。「今後計画している取り組み」(複数回答可)で一番多かったのは「人材の育成」が57.7%、続いて「人材の確保」が50.2%で、5割を超える回答は、この2項目のみ。人材の確保、育成が中小企業にとっての重要な課題となっていることを印象付けた。

 事業承継については、個人経営の69.2%、売上高3000万円未満の企業の88%が「事業を承継する考えはなく自分の代で廃業するつもり」と回答。後継者が決まっていない企業も多く、事業承継問題が深刻な課題として浮き上がった。

 ICT(情報通信技術)の活用状況では、経理・財務管理が46%、顧客管理が43.5%など進んでいるが、EC販売での活用は8.5%、物流管理への活用は6.5%にとどまった。来年秋に予定される消費税率引き上げに関しては、消費税増加分の価格転嫁が可能との答えが60%を占めた。

 同会では、こうした実態調査アンケートを毎年2回実施し、調査結果を基にした取り組みを進めている。当面は、8月上旬から10月上旬にかけて全5回で事業承継問題のセミナーを開く。中小企業基盤整備機構のガイドラインや支援機関、金融機関のサポートの紹介、会員企業の事例報告などを行う予定。

 人材の確保と育成に関連して働き方改革も推進、「働く環境のガイドライン~経営指針を全社一丸で実践するために~」の策定にも取り組んでいる。




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