豊通ファッションエクスプレス(TFE)は、ベトナムにユニフォームを主力とした衣料品の製造・販売を行う現地法人トヨタツウショウファッションエクスプレスベトナム(TFEVN)を100%出資で設立し、1月に営業を開始した。メコン地域の物作りの拠点とし、日系企業向けのOEM(相手先ブランドによる生産)に限らず、欧米や東南アジアなど海外市場も開拓する考え。これにより、製造から販売までユニフォームのバリューチェーンが整う。
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昨年10月に設立したTFEVNは、拠点をホーチミンの中心部から車で約1時間半の距離にあるビンズン省のミーフック工業団地に構える。同団地には豊通ヴィーテクスのユニフォーム縫製工場があり、現地法人の設立に伴ってTFEが約270人の従業員も含めて譲り受けた。
工場は1階でユニフォーム、2階は自動車用資材を生産している。生産能力はユニフォームを中心に年産約40万枚。今後、ユニフォームを軸にしたアパレル事業に集中し、自動車用資材の生産スペースも活用する。生産設備や人員も増強して、5年後には約450人体制で生産能力は倍増を目指す。
主な生産アイテムは「ユニフォーム業界でも特殊」(TFE)というつなぎ服で、小ロットの生産ノウハウを構築してきた。TFEの片山善雄代表取締役は「ベトナムの人件費の高騰を念頭に、最初から優位性の高いアイテムで強みをさらに磨く」考え。今後は閑散期を活用し、一般的なユニフォームや、スポーツウェアまで対応できる生産体制にする計画だ。
TFEVNはメーカー機能だけでなく、商社機能も持たせる。親会社である豊田通商ベトナムの繊維事業を4月、TFEVNに移管する予定で、ホーチミン支店としてスポーツウェアのOEMを軸にした事業も行う。
17年にカットソー主力のアタゴ(福井市)と台湾の得力と共同で設立したアタゴ・ガーメント・ベトナムとのスポーツウェアにおける協業にも力を入れる。12月に稼働し、量産が始まった。布帛アイテムの生産も視野に入れている。技術力の向上にも取り組み、ゆくゆくはTFEVNも含め、扱いが難しいTFE独自の透湿防水素材「ゼラノッツ」も活用できる工場を目指す。