帝人フロンティアがウェアラブル事業に本腰を入れる。スポーツおよびヘルスケア分野でウェアラブル製品の開発に取り組むため、スポーツ分野に特化した身体運動計測・データ解析技術を持つスポーツセンシング(福岡市、澤田泰輔社長)と合弁で新会社、帝人フロンティアセンシング(同)を27日に設立する。新会社を含む帝人フロンティアグループでウェアラブルの製品開発・販売を強化し、スポーツ、ヘルスケア、ワーキング分野で25年に100億円の売り上げを目指す。
(小堀真嗣)
新会社の資本金は5000万円で、帝人フロンティアが90%、スポーツセンシングが10%を出資する。従業員は8人。新会社は両社のノウハウを融合し、帝人フロンティアが開発中のウェアラブル技術の製品化に取り組む。
年末に発売予定のプロトタイプは、吸汗速乾性などの機能を備えたウェアにモーションおよび筋電センサーを搭載した小型デバイスを必要な箇所に取り付けたもの。取り付け部位にはデバイスがずれないよう、滑り止めとソフトな肌当たりの超極細ポリエステル「ナノフロント」を使った。今後も帝人フロンティアの繊維技術を着用感の向上やセンシングに活用し、25年には新会社を通じた売り上げで20億円を目指す。
まずは東京五輪が開かれる20年に向け、スポーツセンシングのネットワークを通じてトップアスリートのパフォーマンス向上をサポートする製品・サービスの開発・販売に力を入れる。次の段階では、蓄積したデータを活用し、アマチュア選手などへの指導サービスの提供を想定している。このほか、介護施設や家族、ペットの見守りサービスにも広げていく。
その過程で、帝人グループはウェアラブル事業を推進するための〝ウェアラブルプラットフォーム〟を形成する考え。AI(人工知能)やスポーツ、医療・介護関連分野、大学・研究機関といった企業・団体との「提携や資本拠出などを通じて事業を拡大する」(日光信二帝人フロンティア社長)という。
帝人フロンティアはこの間、スポーツやヘルスケア用途のウェアラブル製品を研究・開発しており、その中でセンシング技術の強化を検討してきた。一方、スポーツセンシングは、加速度および角速度を計測できる6軸センサーなどによる身体運動計測技術と、取得したデータ解析を強みとする企業。センサーを体に密着させ、より正確なデータを集め、高精度な解析を行うため、帝人フロンティアの繊維技術に着目した。