プレイの四元代表 「売る」ではなく「買ってもらう」

2019/07/26 06:26 更新


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 「販売員はマーケッターであるべき。その役割を果たせないと不要になる」と話すのは、販売指導や販売員のためのサイト「トップセラー・スタイル」を運営するプレイ(大阪市)の四元亮平代表。

 指導してきた多くの販売員は知識もマナーも十分に備えているが、客を知るという大事なマーケティングスキルが足りないと唱える。自身の経験から、マーケティングスキルを身につけ、「売るではなく、買ってもらうという風にマインドセットすれば、接客はもっと楽になる」と説く。

(永松浩介)

■販売員はマーケッター

 販売の原点は、地元の神戸にある。祖父が露店商をしていたこともあり、5、6歳のころから中古のファミコンなどを路上で売っていた。「バブルの時代だったが簡単には売れない。通行人のしぐさや目線を見たり、人の流れを読んだりして、どうしたら売れるのか常に考えていた」。

 高校卒業後はプロのミュージシャンを志していたが挫折、洋服が好きだったことから派遣会社を通じてジョイックスコーポレーションで販売の仕事を始めた。入社後、すぐにトップクラスの販売員になったが、圧倒的に1番になったのは、「売る」ではなく「買ってもらう」に意識を転換してからという。

 販売を始めたころは、何も買わないで客を帰したら上司に怒られたが、疑問を感じていた。「買う、買わないの選択権はお客側にある。お客の意識と会社のミッションが乖離(かいり)している」。だったら、どうするか。購入することで得られる未来をお客に提案し、「売る」のではなく、「買ってもらう」ことにした。

 ふり客であっても会話を通じて瞬時にニーズを拾い、商品を頭に浮かべながら提案を組み立てる。「困っていることを教えて下さい」「なんで(店に)来たんですか」など、客のニーズを探る行為そのものがマーケティングスキルになる。

 「モノよりヒトに興味がある人の方が売れる」が持論。物の知識は誰でも得られるが、客の知識は無限で「本当に深く入らないと心理は分からない」からだ。「お客が買う気になるような未来の提案ができないと、ファストファッションやECには勝てない」。

 例えば、テレビを買う時。メーカーは4Kを売りたいのに対し、客は海外サッカーを見たいとする。客が何をしたいのか、その先の未来や幸せを示してあげることが大事なのに、販売員は100ページもある取り扱い説明書を頭に入れて1ページ目から話してしまう。「お客がどのページのことを言っているか、すぐに気づかないと」。

 出自がメーカーで物作りにこだわりのある会社ほど、「売る」意識が強くなるきらいがあるという。メーカーは効率的な生産など供給発想が染み付いており、結果的に店頭の販売計画に無理が生じるケースが少なくない。つい「売り手」都合に頭が働いてしまう悪い例だ。

販売員を育てるためのサイト「トップセラー・スタイル」

■悩む経営トップ

 経営者も本当に困っているという。かつての消費の拡大期は、販売員もファッション好きでモチベーションが高かった。翻って、今の販売員の資質は過去とは異なり、消費におけるファッションの優先順位は下がっている。打つ手が見つからず、現場には過去の成功体験を話すしかないが、再現性がないから効果はない。

 「人の教育は本当に面倒くさい。だから、人を介さないECやAI(人工知能)ツールに救いを求める」が、苦境を抜け出すには「現場力を上げるしかないのに」と四元さんは嘆く。その方が「シンプルで簡単なんですけどね」とも。

 一般的に、販売員は社会的地位が低く、誰でもできると思われている。さらに、「近い未来にリアル店舗は今の3分の1ぐらいになる」と予測する。それでも、マーケティングセンスを身につけ、「『この人から買いたい』という看板を作って、優秀なマーケッターとして生き残って欲しい」と話す。

人の魅力で売れることもあるため、「SNSでの発信を強めて自身の名を売ることも今の時代は大事」と話す

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