シブヤ109ラボ所長のZ世代のヲタ活 ライフワークとして定着

2022/09/12 06:29 更新


 シブヤ109ラボでは18年から毎年、Z世代のヲタ活について調査をしています。「ヲタ」であることを自覚している人の比率は年々上昇して8割を超え、彼らのヲタ活を軸とした消費行動は年々広がっています。毎年多くのトレンドが生まれ、興味対象が一瞬で変化していくのに対し、ヲタ活への熱量は4年前から変わらず高いものとなっています。

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衣食住に影響

 Z世代にとってヲタ活はもはやトレンドではなく、ライフワークです。生活に欠かせない衣食住を中心とした消費と密接にかかわっているだけでなく、価値観や考え方・キャリアにも影響を及ぼしており、「好き」を極めていく姿勢が、彼らの様々なモチベーションを生み出していることが分かります。

 消費においては公式グッズの購入やライブなどへの参加といった「オフィシャルヲタ活」だけでなく、コロナ禍に活発となった自作グッズを作って楽しむ「創作ヲタ活」も活発です。

 ヲタ活をきっかけにファッションアイテムやコスメ・スキンケアなどの購入にも積極的な実態が見られています。これらを購入する背景にあるのは、商品が推しとコラボレーションしているから、というだけではありません。

 推しの「担当カラー」のアイテムを購入することで、推しの存在を常に感じられる状態を作りたいという気持ちや、「推しに会うから自分磨きをしなくては!」というモチベーションのもと、アイテムを購入している実態も多くみられています。


努力につながる

 またZ世代たちは外見だけでなく、内面にも魅力を感じ、共感できる人を「推し」として応援している傾向にあります。そのため、推しの好きな音楽や趣味に影響を受けるケースも多く、インタビューでも「推しと共演していた方の演劇を見に行くようになり、好きな俳優ができた」といった声もありました。

 さらに、将来の夢を見つけることにもつながっており、「推しに関連する会社に入りたい。中学受験は嫌だったけど、その会社に入るために偏差値の高い学校に行きたくて努力した」という声や、「推しがきっかけで韓国語と中国語の勉強をはじめ、将来は通訳にも興味がある」という声が聞かれています。

 「ヲタ活」は誰かに貢献したいという意識のもと行われる「応援消費」にあたります。彼らにとって推しはなくてはならい存在であるため、応援することに多くのお金と時間を費やしています。しかし刹那(せつな)的な消費にとどまらず、自分たちの人生の可能性を広げることにもつながっていることから、一過性のトレンドで終わらず、ライフワークに変化しているのです。

●長田麻衣(おさだ・まい) シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。今年の目標は若者のリアルをテーマにした書籍を出版すること。

(繊研新聞本紙22年8月10日付)



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