繊維製品に抗ウイルスや制菌、抗菌防臭といった衛生機能を付与する傾向が強まっている。目に見えない不安に対して生活者が身の回りを清潔に保とうとする意識の高まりを背景に、繊維関連企業による衛生機能商材の開発が目立つ。昨年は急を要したマスクが話題の中心だったが、在宅時間が増えたことでインテリアや寝装関連など〝家ナカ〟需要に応える衛生機能加工品が増えてきた。
清潔(S)、衛生(E)、快適(K)な機能加工繊維製品の証しとなるSEKマークを発行する繊維評価技術協議会(繊技協)によると、抗ウイルスや制菌、抗菌防臭を中心とした衛生機能加工のSEKマークに関する申請件数は、昨年1年間で約100件だった。例年は20~30件のため、大幅に増加した。そのうち、4月1日時点での認証件数は84。その後も順次、認証が進んでいるという。
マーク別に見ると、抗ウイルス加工が21件増の計60件、制菌加工(一般用途)が23件増の計153件、制菌加工(特定用途)が13件増の計106件、抗菌防臭加工が27件増の計282件。「安心・安全であることを消費者に示すため、きちんとマークを付けて販売しようとする意識が浸透しているのではないか」(繊技協)と見る。
その中で申請が増えている製品分野は、マスクも含め各種フィルター用途の不織布、椅子やソファの側地やカーテン、シーツや枕カバーなど寝装品。繊維メーカー側からも「パジャマやワンマイルウェアのような部屋着も含めた寝装品で抗ウイルス加工の需要が増えている」(シキボウ、大和紡績など)という。
抗ウイルス性の機能性試験は指定試験所が限られていることもあり、今も試験待ちの状況が続いているという。