【パリ=三冨裕騎】2月6日に開幕した国際素材見本市プルミエール・ヴィジョン(PV)パリ。25年春夏に向け、トレンドを刺激する生地を集積したインスピレーションフォーラムでは、光沢や立体感、透明感などで動きを見せる素材が目立った。キーカラーとして真っ先に挙がったのはミルキーイエロー。柔らかさと懐かしさが感じられる色合いだ。
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展示会のテーマは「ミューテーション」(変化)。デゾリナ・ズーターPVファッションディレクターは「先行きが不透明で、世界各国に様々な困難がある時期。変化を前か後で捉えるのではなく、変化している最中をそのまま受け入れることが大切なのでは」と語り、違いや多様性を受け入れることの寛容さを、見え方や立体感といった動きのある生地で表現した。レディスとメンズ、モードとカジュアルといった垣根も無くなりつつある。
トレンドフォーラムでは、ホログラムのような動きのある光沢素材、立体感のあるフリンジやカットジャカード、透明感のあるメッシュやレース、刺繍、薄手のウールといった生地が目についた。「アルチザンとテクノロジーの融合も大切なポイント。少し過剰な装飾感も麻などの天然素材で自然な雰囲気を残す」として、ハンドクラフト調の生地も推す。
トレンドカラーでは、色あせたような彩度を下げた色の組み合わせを出し、あいまいさの中にもどこか落ち着く、自然でナチュラルな雰囲気を見せる。キーカラーはミルキーイエローのほか、より洗練された新鮮なブルーのバリエーションとしてターコイズなども提案する。赤とピンクを混ぜて、深い色合いのマゼンタのようなフーシャ・シャドーは、夏の夜のエキゾチックなイメージだ。