日本未来科学館が公開しているメディアラボ展示「ぴったりファクトリ」で、「自分がデザインした服が作れる」アプリを体験できる。クチュールデジタル(大阪市)が提供する「クチュール」に、長田典子関西学院大学理工学部教授らが研究開発した「感性ものさし」を組み込んだ感性AI(人工知能)エンジンを活用した。9月1日まで。
ぴったりファクトリの「ぴったりをさぐる」ゾーンで体験できる。人の感性をデータとして収集・数値化し、人の感覚や印象を一般化する感性ものさしの研究を紹介する。好みの柄を載せカスタマイズし自分の好みにぴったりの服を作り、3Dでシミュレーションできる。森田修史社長は「実は自分で好みを選べるのはごくわずか。クチュール内のAIがアドバイスしてくれる」形を目指しているという。
そこで必要なのが、個人の感性を視覚化する感性ものさし。ブースでは来場者が、柄と形(自動車のモックアップのような画像)を見て表示された感性キーワードで段階評価することで本人の感性タイプが分かる。ここで入力されたデータから指標を作り感覚・印象を一般化するのが感性ものさしだ。このものさしは、独自の統計手法を使って「物理と感性の特徴をうまくとらえることができる」(長田教授)ため、これを組み込んだ感性AIエンジンは比較的少ないデータでも検索が可能になる。このAIを採用したオーダーメイド店舗でも1カ月足らずで起用になったという。
クチュールは実導入に向けたテストプロジェクトが既に動いているとしている。使い手側の感性だけでなく将来は、デザイナーの感性に合ったデザインの支援にも利用できると森田社長はみている。