オーダースーツSADA〝リアル店の大切さ実感〟新店効果で増収も

2020/06/18 06:30 更新


 「新店効果もあり7月決算の増収も見えてきた」と話すのは、オーダースーツSADA(東京)の佐田展隆社長。コロナ禍の5月中旬、東京・銀座にプレオープンした高級路線第1号となる旗艦店の出足が堅調なことに加え、緊急事態宣言の解除後2週間の既存店売上高が前年実績を確保した。創業100周年となる23年には売上高50億円・80店体制という目標達成を掲げ、新規出店や移転拡大などの店舗投資を継続する。

 コロナ禍でもオーダースーツを仕立てに来店する顧客はコンスタントにあり、「スーツの役割を見直してもらえる好機」ととらえる。「カジュアル化で既製服のスーツ離れはあるかもしれないが、オーダースーツ市場が拡大する可能性は高い」と見る。

 上期(19年8月~20年1月)は前年同期比25%増だった。その後、今春夏の売り上げは2月中旬までが直営店は5%増、3月中旬までが6%減、4月中旬までが半減で推移した。しかし、5月中旬までで30%減まで回復し、6月1週目までの2週間で急回復した。解除後にリピーター客の来店が増え、予算を上回った既存店が半分以上となった。

 新業態の「工場直販オーダースーツSADAプラス銀座店」ではプレオープン中に平日でも5~10人が来店し、手応えを感じたという。通常店の2倍の約132平方メートル。家賃も通常の5倍のため、売り上げ目標も初年度1億5000万円を見込む。オーダースーツはリピーター商売のため、3年後には通常店の5倍となる3億円までの拡大を想定する。

 銀座店では店頭に着分の生地を並べることで風合いを体感でき、試着イメージも顧客と共有できるのが特徴。リアルな場でのプロのフィッターによる採寸や接客はもちろん、高級なインポート生地を使ってもリーズナブルな価格でオーダーが仕立てられる点も魅力になっている。

 高級路線の新業態は7月、丸の内にも出す予定。「デジタル化が進むオーダースーツ業界だが、顧客とスタッフがリアルで一緒に作り上げるプロセスがだいご味」という佐田社長の姿勢は今後も変わらない。

「6月初旬にグランドオープンした銀座店に手応えを感じた」という佐田社長


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