もこもこマーブル絵の具を駆使するNKH (YUUKI)

2018/03/05 17:00 更新


パリに行って来ました。

1月の事です。 1月のパリは2年ぶりですが、2年前と比べると随分と雨の多いファッションウィークでした。

雨はオレンジ色の街灯が照らすパリの街並みをより一層ノスタルジックな雰囲気にしてくれるので、とても好きです。

はじめまして。YUUKIです。以前はYUUKIOGURAってブランドのデザイナーやってました。一応これでも新人賞受賞したりしてます。今はブランドのお手伝いしたり、応援したり、写真撮ったり、ブログ書いたり、通訳したり、オーガナイズしたりしてます。

さて、パリ初日はTRANOIに行ってきました。シーズン毎に縮小していますが、それでも出展希望者がいます。その理由には触れませんが、だからこそ掘出し物があったりします。

今回、YUUKIはTRANOIでアーティストの男の子に会いました。

NKH(左)と筆者

1ブース(3m x 3m)を若手のブランド、他5組と一緒に作品を展示していました。正直、ブランド同士のスタイルはまとまっておらず、初日の段階で全てのブランドのディスプレイも終わってませんでした。海外若手あるあるです。ただ、その中でも目に止まった作品が、今回ご紹介するNKHというアーティストが手掛けるブランドです。

NKH PAINTING(ブランド名)のラックの一番手前に飾られていたのが、白地に舌を出したアインシュタインの顔だけが、シンプルな線で描かれていたTシャツでした。


アインシュタインの口元からはヨダレが垂れ、そのヨダレはライトブルー、ダークブルー、ホワイトの3色の絵の具がマーブル状に混ぜ合わせたもので描かれていました。絵の具はモコモコペンの様に立体的で、ユーモラスなイメージがより一層アニメチックに仕上がっていました。

グラフィティのようで、モダンアーティスティックなイメージに惹かれ、後ろの作品を見ると、そこにはモコモコ絵の具で描かれているものばかりが並んでいました。ガーメントの全体的に絵の具が飛び散っているシンプルなものや、トレーナー全体に絵の具がガッチガチに塗られているもの。ポケットから液体がこぼれ落ちているもの。どれも一点一点手作業で描いているとのことです。

アインシュタイン以外にも、ボーラー姿のチャップリンの顔がモチーフになっている作品もありました。帽子の上から血のような液体が垂れ流されていましたが、それもNKHの代名詞であるモコモコマーブル絵の具で描かれていて、グロテスクなイメージも可愛らしく仕上がっていました。


その他にもペイントされたパソコンケースやアディダスのスニーカーなどもあり、贅沢にもビンテージのシャネルのバッグもありました。もちろんシャネルだろうとルイヴィトンだろうと、NKHのモコモコ絵の具がふんだんにドリップされています。全てのピースに彼のサインがされていて、その下には何枚制作されたか、シリアルナンバーが記載されています。彼自身が作り上げているからこそ、特別に感じさせる数字です。


彼の作品のベースには”Ready-to-wear”があります。アートは美術館に飾られるだけではなく、ガーメントとともに活きなければいけない。実際に着れることが前提のため、どれを見てもジーンズと合わせたくなるものばかりでした。

シンプルなT-シャツは120ユーロ(約16,000円)くらいから、絵の具が多いもので285ユーロ(約39,000円)、スニーカーも265ユーロ(約37,000円)からと一点一点手作りと考えると決して高くはないですが、NKHは「アーティストの作品は人気が上がれば上がるほど価値が出てくる。いずれ僕の作品も高くなっていくよ」と言います。


取り扱い店舗ではライブアート付きのポップアップも行なっていて、お客さんにも作り上げている瞬間を楽しんでもらうそうです。その他にもファッションショーも行なったそうですが、ムービーや写真を見る限り、彼の作品には正直必要のないプレゼンテーションと感じました。まだ若い故の挑戦なのかもしれません。

まだまだ取り扱い店も少なく、もちろん日本でも発売していませんが、これから毎シーズン、どんな作品を見せてくれるか楽しみなブランドです。是非インスタグラムホームページも見てみてください。日本に来るのは時間の問題かもしれないですね。



YUUKI デザイナーを経て、ファッション専門の通訳、ブランドの取材、海外にてバイヤーのアテンドなどをし、現在はIFF MAGIC JAPANのオーガナイザーとしてブランドの海外販路拡大の為のサポートを行う。普段あまり取り上げられないブランドを紹介したり、宝物のRICOH GR2で撮影したスナップ載せたりします


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