レディス企業のナイスクラップは、話題性のある商品を計画的に仕掛け、来店や購入に結び付けている。ベースとなるのが年間のモチベーションカレンダーで、いつのどんなモチベーションに合わせて何の商品を打ち出すかを細かく設定している。さらに、店舗スタッフがSNS上で情報発信することで商品への期待感を高めている。
【関連記事】売り場観測・チェーン専門店レディスヤング4月
モチベーションカレンダーは、全社共通のフォーマットを元にブランドごとにアレンジ。何度も作り直しながら精度を高めてきた。春の新生活など一般的なモチベーションに加え、キャラクターとの協業品など独自の仕掛けをタイムリーに行う。
主力のヤングブランド「ワンアフターアナザー・ナイスクラップ」では2週間に1度、または1週間単位で新企画を出す。水着はECの予約販売時点から大きな反響があり、ラック丸ごと黒の服を打ち出す企画でワンピースが即完売した。ワンアフターの今春夏物はやや苦戦した時期もあったが、鮮度ある商品で修正し5月は順調という。
ヤングでも実需買い傾向が強まり、「黙っていても売れない時代。店頭のフェイスを変えて売り上げのヤマを人工的に作る必要がある」と小路順一社長は話す。「少子化といえどもヤングは服にお金を使うし元気な世代」とみて、買いたくなるきっかけを丁寧に伝える。SNSも積極的に活用し、特に効果的なのがヤングの日常的なツールでもある「LINE」という。
一方で店頭鮮度を維持するため、売れない商品は早期にアウトレットや一部ECに回す。セールをモチベーションにして数多く売るという手法も今や通用しないとして、セール期間は3週間から2週間に短縮し、その時着られる晩夏物などに切り替える方針だ。
前期(18年2月期)業績は、売上高107億4000万円(前期比12%増)、営業利益約5億4100万円(約87%増)だった。インフルエンサーとして店舗スタッフがSNS上で商品情報を拡散し、SNS、店舗、EC共通で露出するビジュアルの質も高めるなど、店舗やECへの集客策が定着した。
ブランドでは、郊外店中心の「ナチュラルクチュール」が50%増収と伸びが目立った。店長経験者がブランド責任者も務めるなど、現場感覚を生かして店頭ニーズをすぐ企画に反映、今期も引き続き好調という。