社会で活躍する女性の企業家に向けたコンセプトブランド「LR(エルアール)」が18~19年秋冬、デビューする。
立ち上げたのは、ファッションビジネスのコンサルティングを行うJ&Co.ファッションオフィスの北澤淳子さんと、LVJグループの会員制サロン「セリュックス」で責任者を務めた経歴などを持つ経営戦略コンサルティングの矢野麻子さん。実業家や弁護士、医師などエグゼクティブな女性が増えるなか、彼女たちのワーキングシーンに適した服がないという声を受けて、ブランドを立ち上げた。
エグゼクティブな女性たちは、ここぞという時にはラグジュアリーブランドのスーツやドレスで正装する。最上級の服はすでに十分持っており、全く事欠かないという。
一方、探してもなかなか見つからないのは、日常的に着ることができる仕事着。エグゼクティブな女性が目上の人に会っても失礼がないきちんと感があり、納得のいく上質素材を使っていて、手入れがしやすい。エルアールではそんな服を揃えた。
中心アイテムは、ジャケット(4万4000~5万8000円)。レースのノーカラージャケットや量感のあるペプラムを飾ったジャケットなどが揃う。スカートはジャケットと同素材のストレートスカートや、ジャカードのインテリアファブリックのフレアスカートなど(4万4000~5万8000円)。どのアイテムにも似合うスタンドカラーのシフォンブラウス(2万7000円)は洗えるシルクで仕立てた。ドレスはボトルネックのドレスやAラインドレスなど(4万5000~5万8000円)。
顧客のニーズに合わせて、カスタムオーダーも行う。ドレスの袖部分は、テープ状のラインやパールなどの装飾が楽しめる。ブラウスのボタンを月や星のボタンに変更することもできる。
価格にもこだわった。価格と照らし合わせたときに素材が上質であることを重視して、原価率を60%に設定した。卸販売では成立しない原価率だが、BtoC(企業対消費者取引)で受注生産することで可能にした。「卸をすると価格が上がってしまうため、原価を抑えなくてはいけなくなる。小ロットのビジネスで良いものを作ろうとすると価格は上がる一方です」。そこで、販売ルートをシンプルにして経費をそぎ落とすことで、コストパフォーマンスの高い商品に仕上げた。
今回の展示会は時間のないエグゼクティブに向けて土日も含めた3日間開いた。「口コミでネットワークを広げたい」。今後はネット販売も検討する。「ブランドの型がいくつか決まったら、可能になるはず」
ファッション業界で働くエグゼクティブな女性のなかにも、きちんとした場面で着る服が見つからずに困っている人がいるという。普段着ているモードな服は、子どもの保護者会や母校の大学の記念式典にはそぐわないと感じている人もいる。市場はニッチかもしれないが「ファンに向けたブランドという規模感で進めたい」という。