《ローカルでいこう》南東北ファッショングループ クラウドファンディングで産地活性化 イベント費用調達へ
福島県相馬市と南相馬市に生産拠点を置く縫製業者を中心に組織する、南東北ファッショングループはクラウドファンディングを活用し、ファッションショー「福島相双オールファッションチャレンジ」の開催資金を募る。国内繊維産地活性化に向けたイベント開催に対する出資募集は珍しい。調達目標額は100万円。10月12日まで支援を募る。
(北川民夫)
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続く復興への取り組み
今年で3回目を迎える同ショーは、11年3月の東日本大震災からの復興を目指す取り組みとして、16年からスタートした。今秋は10月28日に南相馬市内での開催を予定している。ファッションの魅力を通じて縫製業の魅力をアピールし、福島県浜通りの北部に位置する相双地域など南東北エリアの地場産業を活性化する。地場の縫製業の存在感を示すとともに、新規採用による若い労働力の確保につなげる狙いもある。
昨年秋の催しでは、デザインコンクールファッションショーを開催。福島県南相馬市、相馬市内の中高校生や、宮城、福島県内を中心とした服飾専門学校からデザイン画を募集し、応募された216点の中から24点を相双地区の縫製工場が製品化した。デザイン画の応募者が自らモデルとなってランウェーを歩くイベントなどが行われた。
今年秋の開催に向けては「過去2回は参加する縫製工場や福島県内のアパレル関連業者で資金を持ち寄り、なんとか開催してきたが、毎年の負担は大きい」(福島相双オールファッションチャレンジ実行委員会)として、開催資金の一部をクラウドファンディングサイト「レディーフォー」を通じて調達することを決めた。出資額は1口3000円~20万円。支援リターンはイベント当日のペア招待席確保や福島発ブランド「アーティジャングル」ノベルティーバッグ、会津木綿はぎれセット、イベント会場周辺ホテル宿泊券などを準備している。
魅力的な舞台を作る
同委員会では当初、ショー開催費用の不足から「今後の開催は諦めよう」「規模を縮小して開催する」などの意見も出されたが、最終的には「地域のため、服作りの仕事を夢見る子供たち、若者たちのためにも、魅力的ですてきな舞台を作りつづけよう」という意見でまとまった。
東日本大震災から7年以上が経過した現在も、福島県内の相馬、南相馬、双葉など相双地域では縫製現場での人手不足が続いている。震災以降、居住者が他県に転居し、地場での若年層の採用が難しい現状がある。福島相双オールファッションチャレンジの過去2回の開催を経て「県内外から12人の新卒採用者を迎えた実績がある」として継続的な開催を目指す。
