ミカムミラノ、ミペル開幕 イタリア製品の需要が戻る

2023/02/22 06:26 更新


 【ミラノ=須田渉美】欧州を中心とする靴と革製品のビジネスに力強さが出てきた。2月19日に開幕した国際靴見本市ミカムミラノと国際革小物見本市ミペルは連日、活発な商談が行われている。生産コストの上昇など課題は多いものの、高品質なイタリア製品に関しては、コロナ禍前の水準へと需要が回復傾向にあり、世界のバイヤーの買い付け意欲は高まっている。

 ミカムミラノは21年2月展の出展者数が500社程だったのに対し、今回は800社988ブランドが出展した。「国を問わず、来場するバイヤーが増えたことに対し、出展するメーカーに落ち着きが出てきた」(ジョヴァンナ・セオリーニ伊靴工業会会長)印象だ。

 伊靴工業会の統計によると、イタリア製靴の22年1~10月の売上高は、前年同期比14%増の144億9000万ユーロで、19年の水準に回復した。大きな要因は、ラグジュアリーブランドを中心とした輸出の23.3%増だ。ミカムミラノに出展する中高級品のファクトリーブランドでも、19年の水準を超える勢いのところが出てきている。しかし、素材価格と物流費の上昇によって、「1年前と比較して10~30%値上げせざるを得ない状況にあり、付加価値の高いラグジュアリーブランドのように受け入れられない」厳しさがある。

 ミペルの出展者は、22年9月展より15%増えて、150社175ブランドが出展した。バッグ・革小物は、多くの部材を必要とする靴に比べて生産コストの上昇幅が小さく、受注や消費に影響が少ない明るさがある。

 主催する伊皮革製品メーカー協会によると、伊製品の22年1~10月の輸出額は、前年同期比15.4%増で、19年と比べても5.2%増となる。靴同様にラグジュアリーブランドの好調な推移がけん引し、韓国向け34%増、日本向け25%増、台湾98%増とアジア向けが大きく伸びた。

 今回、日本のバイヤーも百貨店やセレクトショップを中心に来場は回復傾向にあるものの、継続する円安に加えて、物流費の高騰によって、思い切った発注に踏み切れない様子。ベーシックで素材やディテールに特徴のある商品を厳選する傾向にある。

きれいなカットで屈曲性の高い履き心地を備えた「プロスペリーネ」は、新規の受注も増えて19年の実績を超えそうなファクトリーブランドの一つ


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