NYメトロポリタン美術館のカール・ラガーフェルド展 「線の美しさ」に焦点

2023/05/16 14:00 更新有料会員限定


入り口では、生前に録画されていたスケッチを描くラガーフェルドの手元の動画が大きなスクリーンに映し出されている。流れるような手の動きと美しい線に思わず見入ってしまう

 メトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュートで、「カール・ラガーフェルド:ア・ライン・オブ・ビューティー」展が始まった。ラガーフェルドの65年のキャリアの回顧展で、「線」に焦点が当てられている。ラガーフェルドがデザイン画を描く動画が流され、流れるような線を描く手の動きが、時代ごとに映し出される。展示数は約200点で、スケッチの原画が多くのルックと共に展示されている。

(ニューヨーク=杉本佳子通信員)

 ラガーフェルドの描く美しい線は創造的表現の根幹であったと同時に、コミュニケーション手段でもあった。ラガーフェルドのスケッチを元にパタンナーたちが服を組み立てていったのだから、そうした解釈はいかにも理にかなっている。ラガーフェルドと共にアトリエで働いた女性たちが、ラガーフェルドとのエピソードを語る動画も楽しい。

ラガーフェルドとかつて同じアトリエで仕事をしたパタンナーたちのインタビューを流している部屋。それぞれのエピソードが面白い。展示されている服の手前には、スケッチの原画が置かれている

 1964年か65年にラガーフェルドがクロエで働き始めた頃に、パタンナーとしてクロエに入ったと言う女性は「よくケーキをもってきてくれた。お母さんは可愛らしい人だった。少しでも何か違うと最初からやり直さないといけなかった」と語る。

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