《めてみみ》他社がまねする商品を

2026/04/10 06:24 更新NEW!


 今春、シャープが堺市から大阪市に本社を移転した。繊維関連企業が集まる中央区の久太郎町だ。エントランスで来訪者を迎えるのは、創業者である早川徳次氏の銅像。横には同社の礎を築いたベルトのバックル「徳尾錠」やシャープペンシル「早川式繰出鉛筆」などが展示されている。

 かつて関西は、同社や松下電器産業(現パナソニックホールディングス)、三洋電機などが本社を置き、「家電王国」と称された。高度経済成長期には、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が「三種の神器」と呼ばれ、各社が世界的企業へと発展していった。

 それから数十年のなかで、流れは一転する。中国をはじめとするアジアの家電メーカーが質量共に大きく成長、業界の構図は様変わりした。シャープも10年前に台湾の鴻海精密工業の傘下に入り、新たな企業成長を模索中だ。

 早川氏が遺した言葉の一つが「他社がまねするような商品をつくれ」。まねされる商品とは、消費者が望み売れる商品であり、その中での競争や技術の向上が社会の発展につながるという思いである。その言葉自体は今も色あせていないと思うが、これほどアジア勢の追い上げが急だとは早川氏も想像できなかっただろう。中東情勢が落ち着いたとしても、企業をめぐる世界の環境は激変のただなかにある。日本の物作りの底力がいよいよ試される。



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