《めてみみ》スキー場から消えた若者

2025/01/29 06:24 更新


 87年に公開された映画『私をスキーに連れてって』は、ブームの火付け役になった作品で知られる。記者も当時鑑賞して憧れが増し、毎年のようにスキーを楽しんだ記憶がある。

 先日久しぶりにゲレンデに行ったところ、若者がめっきり減っていることに気付いた。以前なら、いかにも初心者風の若者と彼らを教える同世代の集団が目立ったが、ほとんど見かけなかった。

 様々な理由があるだろうが、一番はリフト券代などが高くなったことではないか。報道によれば、前シーズンに比べ燃料費や人件費の高騰などでリフト券代が平均約10%値上がりしたという。記者が行ったスキー場も一日券が6000円台から8000円台にアップしてびっくりした。ここに宿泊費や交通費、用具代などが加われば、学生・若者が気軽に楽しめるレジャーではもはやないだろう。いつの間にかスキー・スノーボードは、懐に余裕のある中高年とインバウンドのためのレジャーになってしまったようだ。

 スポーツ業界として、富裕層に的を絞ってウェアや用具を出すのも戦略の一つだ。しかし、映画の影響でスキーにロマンやときめきを覚え、雪山で遊ぶだいご味を知った者からすると、今の状況は何とも物悲しい。若者はこれからの消費の主役となっていく世代でもある。裾野を広げることも業界にとって大切なはずだ。



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