《めてみみ》MD+販売力で売る

2024/08/30 06:24 更新


 来週から9月。朝晩は少し過ごしやすくなってきたが、夏の終わりはまだ遠そう。22日発表の気象庁の全国1カ月予報も「期間の前半は全国的に気温がかなり高くなる見込み」。23年9月の東京の最高気温データを見ると30℃以上の真夏日が20日間あった。今年も、昨年同様に暑い日がしばらく続く様相だ。

 都心の商業施設を見て回ると、店頭は秋色に変わり始めている。ちらほらとコートも見かけるが、いわゆる薄手の秋色夏素材が多い。新作の提案商品なのだろう。半袖シャツ、ジレ、ノースリーブワンピースなどの正価品を前面に並べている店もあった。長い夏に対応したMDに組み直したことがうかがえる。

 購買客層の幅を持たせたNBが秋色夏素材商品を強化しているのに対し、デザイナーブランドの多くはジャケットやニットなどの秋冬物を中心に提案しているようだ。デザイナーブランドの顧客が求めているのは気温対応よりもクリエイションということだろう。

 こうしたMD戦略はもちろん重要だが、「誰に何を販売するのか」という現場の細かな視点・提案も大切だ。主流は実需買いでも、おしゃれを先取りしたい客もいる。小旅行や友人とのディナーなど、多様なオケージョンに沿った提案も求められるだろう。〝個〟の需要に対応できる販売力。それも長い夏の売り上げを左右するかもしれない。



この記事に関連する記事