《めてみみ》自由な精神

2023/09/29 06:24 更新


 24年春夏デザイナーコレクションはミラノからパリへと舞台を移した。ミラノではサバト・デ・サルノの新生「グッチ」や、ピーター・ホーキングスによる「トム・フォード」のデビューが話題となった。

 デザイナーの交代により新たな美しさを描くのか、あるいはブランドのアーカイブに忠実なクリエイションとするのか。それはブランドそれぞれだろう。共通するのは、巨大なビジネスを背負っての出発という点。新しくブランドを任されたデザイナーには、今までのビジネスを守り、ブランドイメージを刷新するという難問が突き付けられる。それは巨大なプレッシャーだろう。

 パリに入ると序盤は、若手ブランドのコレクションが続く。インディペンデントでビジネス規模も大きくはない。巨大なブランドビジネスを守るというプレッシャーはなく、その分、自由な発想でクリエイションに集中できる。そして、その自由なクリエイションにホッとする自分がいる。

 おそらく、それはミラノで見たコレクションがビジネスを優先しすぎるあまりに、コマーシャルなものが多かったからであろう。若手デザイナーは、自分たちの感じた今の時代を真っすぐそのまま表現する。必ずしもキャッチーではないけれど、そこには自由な精神が宿る。そこに、ファッションの本質があるように思う。



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