《めてみみ》大事な「入り口」

2023/04/06 06:24 更新


 年度末と年度初めは国の有識者会議の報告書やガイドラインの発表が集中する。ファッションビジネス企業が活用すべきものも多い。経済産業省は3月31日に「ファッションローガイドブック」、4月4日に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」を公表した。

 前者はファッションに関する知的財産権や契約に関わる問題など「ファッションロー」の初のガイドライン。21年11~12月に開いたファッション全体に関する有識者会議での討議をもとに、昨年11~12月に作業部会を行い、報告書としてまとめた。後者は昨年9月に政府が策定した企業の人権対策に関する初のガイドラインを実務者向けに解説した。

 ファッションビジネス企業にとって重要な課題を具体的に整理しており、記者にも参考になる。国の公的資料にしては文章も平易で、図表も多用するなどしてわかりやすい。

 重要なのは作成したものをしっかり伝えること。いずれも、経産省のホームページで公開し、ファッションローガイドブックは動画も配信している。周知のためのセミナーなども開くという。問題は資料や関連情報にたどり着くまでの「動線」がわかりにくい点だ。これは国の情報発信全てに共通する。「入り口」をわかりやすくしなければ、伝えるべきことが十分に伝わらない。



この記事に関連する記事