《めてみみ》憧れの人

2023/04/04 06:24 更新


 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が優勝した。準決勝では初球を弾き返す2塁打で逆転のきっかけを作り、決勝では最終回にチームメイトを三振で仕留めるなど大活躍の大谷翔平選手は大会MVPにも選ばれた。

 決勝前の円陣で語った「今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」はマスメディアやSNSがこぞって取り上げ、ファンもそのプレーとの言行一致ぶりに驚嘆しただろう。

 日本で試合を観戦した我々は東アジアや欧州、北中米カリブ海から20カ国が参加した今大会は大いに盛り上がったと感じている。だが、野球の競技人口は世界で3500万人。バスケットボールの4億5000万人、サッカーの2億6000万人と比べるとマイナーな存在だ。

 プロリーグを持つ日本でも、近年は社会人野球や高校生以下の競技人口は減少の一途。背景にあるのは少子化と選択肢の多様化だ。

 ファッション産業でも販売職の人手不足が深刻と聞く。他の職種に比べて仕事がきつい、給料が安いなど、ネガティブなイメージを持っている学生も多い。頑張りが報われる労働条件、やりがいを感じられるキャリアパスの整備に加え、職場内にあの人のようになりたいと、憧れを抱くことのできるロールモデルを増やす必要もあるのかもしれない。



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