《めてみみ》追い打ち

2023/01/11 06:24 更新


 昨年末の中国の新型コロナウイルス大感染は、本当にすさまじかった。上海では1日100万人が感染したと言われ、記者の肌感覚では既感染者は8割を超えたように思う。

 消費だけでなく生産も低迷した。各種工事も一時はストップし、突貫開業した大型商業施設では接着剤の臭いが充満していた。上海は2カ月間の都市封鎖も経験した苦しい22年だったが、年末にも厳しい追い打ちにあった。

 しかし、23年の元日は観光地に人が戻った。外灘、南京東路歩行通路、豫園周辺は昨年よりにぎわって活気づいた。日本人の駐在家族は上海を離れて杭州、海南島などへ旅行していた。この3年間、どこにも行けなかった鬱憤(うっぷん)を晴らせただろう。

 ただし明るい話題は限定的。現時点では、以前は混んでいたコーヒー店でさえ人が少なく、夜の飲食店は実に閑散としている。感染予防が理由でなく、多くの企業がリストラして失業者や給与減少が見られ、企業・個人ともに無駄な出費を避けている。

 追い打ちはまだ続き、12月の電気代が異常な値上がり。使用量が同じなのに請求額は2~3倍。こうした「ゼロコロナ後遺症」は今後もありそうなため、景気回復は25年に遅れる予想が出ている。22日から春節(旧正月)だが、これが明けて上海に人がどれほど戻ってくるかも次の景気予測判断になる。



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