《めてみみ》新大臣に望む

2022/08/12 06:25 更新


 8月10日に新内閣が発足した。繊維・ファッション業界を所管する経済産業大臣は続投に意欲を示していた萩生田光一氏から、西村康稔氏に交代した。

 西村氏は経産省の前身の通商産業省出身。85年に入省し、資源エネルギー庁などを経て、環境経済政策などを行う産業技術環境局の前身である環境立地局の調査官を最後に99年に退官し、政治家に転身した。

 19年9月~21年10月には経済再生担当大臣として新型コロナウイルスに対する緊急対策を含め、経済財政政策を指揮した。昨年4月25日からの緊急事態宣言に伴う休業要請に応じた「大規模施設等協力金」の担当大臣でもあった。

 この協力金を巡っては、支給額が厳しい実態とはかけ離れて少額だったことに加え、制度設計があいまいで、説明も不十分だったため、百貨店の取引先に対する支給問題を中心に多くの混乱を生み、ファッションビジネス業界の反発を招いた。西村氏から協力金問題に対する明確な説明はなかった。

 経産省は足元では資源エネルギーの安定供給体制の確保や物価高対策、コロナ下での中小事業者の支援策、中長期的には脱炭素化やデジタル化など多くの政策課題を抱える。豊富なキャリアを生かすとともに、協力金問題と同じ轍(てつ)を踏まないように、産業界の声を真摯(しんし)に聞き、政策を実行することを新大臣に望む。



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