《めてみみ》シーインの常識

2022/07/13 06:24 更新


 中国のファッション業界でも店舗型SPA(製造小売業)ファストファッションの不調が話題になっている。H&M、ザラの店・ブランド撤退、中国発ザラと言われた拉夏貝爾(ラシャベル)の4月の上場廃止に関する記事をよく目にする。

 一方「次世代ファストファッション」として分析が増えているののが「SHEIN」(シーイン)。広州の企業だが、情報を公開していないため多くの記事が関係筋情報をまとめたもの。1000円以下の超低価格、中国では販売せず欧米・中東を中心に230を超える国・地域へ越境ECで販売し、売上高は1兆円規模と言われる。実店舗主体の小売りは今も「店舗がないとEC売上高は伸びない」というが、DtoC(メーカー直販)でこの金額が正確ならば、定説は覆える。

 企業トップの出自は検索エンジン開発者で、業務全てで「データ」を徹底。同時に「売れなくても素早い金払い」も工場が支持する強みとか。中国でも「このモデルのまねは難しい」とすでに言われているが、「検索・販売データによる企画・生産、1週間単位の素早い売れ筋投入」は今後の成長キーだ。

 約5年前に日本でCRM(顧客管理)をテーマに取材した際、「データ8割、でも感性が2割必要」と聞いた。この説は今どうなっているのか気になるところ。常識は変わる。



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