リモートワークを1年以上続けると、新しい習慣が身についてくる。我が家では妻が仕事の合間に流しているラジオが、自然と耳に入るようになった。コロナ禍以前はほとんどなじみのなかったラジオが、今では毎日の情報源の一つとなっている。
何気なく聞いていると、サステイナブル(持続可能性)に関わる情報がとても多いのに驚かされる。毎日のように、SDGs(持続可能な開発目標)に関わる新しい事業や商品が紹介される。それもこのご時世ゆえであろうが、あまりにもサステイナブルがもてはやされているのを耳にすると、いささか閉口する。
先日、22年春夏コレクションを発表した「ダブレット」のコンセプトに共感するところがあった。デザイナーの井野将之は、サステイナブルばかりが脚光を浴びることへの違和感を持ちながら、その風潮を逆手に取ったサステイナブルなクリエイションを見せた。
もちろん、サステイナブルを意識して物作りをすることは悪いことではない。だけど、サステイナブルな作り方ではなくても、人々の気持ちを揺さぶるものはある。むしろ、サステイナブルに作っていても、それ以外に何の感動も生まないものが横行してはいないだろうか。近頃のラジオから、そんな印象をもってしまう。「そんなに作らなくていいよ」と一人ラジオにつぶやく。