《めてみみ》地元同士の連携

2020/08/21 06:24 更新


 松山三越が9月、大規模改装に着手する。9層のうち、百貨店部分は主に2~4階に圧縮し、下層階には物販や飲食、上層階はホテルやビューティー&ヘルス関連のテナントを導入する。郊外SCや百貨店との競合で減収が続き、再生プランを検討していた。21年秋の完成を目指す。

 キーワードは「立地の必然性」。居住者、会社員、学生、観光客など幅広い客層が訪れるエリアと見て、客層の幅の拡大や利用頻度の増加を狙う。特徴は、テナント部分の主要施設・店舗で地元企業と協業すること。NBではなく、地元企業と組んで地域振興につなげたい考えだ。

 各地域で、小売業や商業施設と地元企業との連携が広がり始めた。近鉄百貨店は奈良、滋賀、和歌山など各支店で地元産品を発掘・販売する「地域商社事業」に前向きだ。天満屋は今春、地元の銀行やマスコミと地域商社事業の検討を目的とする協定書を締結し、準備室に人材を派遣した。

 地域経済の発展なくして地域小売りの活性化はない。その認識がかつてなく高まっている。まちづくり会社のトップが「域内の人たちが、域内でインセンティブを持って運営することが重要」と強調していた。コロナ禍によって顕在化し始めた店舗閉鎖の影響は、おそらく地方都市ほど大きい。地元同士の連携・協業・支援の重要性が増している。



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