《めてみみ》野菜のように

2020/05/18 06:24 更新


 洗わなくても食べられる葉物の野菜をよく目にするようになった。工場内で無農薬で栽培され、サラダにするのには水っぽくならなくて便利だ。そんな商品と似たパッケージの注意書きに、水洗いしてから食べるようにとあったので、葉を剥がしていくと丸々と太った赤い芋虫が現れた。

 「アベノマスク」に虫が混入していたと報じられた。野菜のように洗って使うわけにはいかないようだ。気温が高く虫が多いアジアで生産されるアパレル工場では、虫が入らないように細心の注意が払われる。混入を見逃して消費者に届けば、クレームになるのは避けられない。

 商社やアパレルメーカーなどがマスク生産に乗り出し、手作りキットも増え、アベノマスクがいまだに届かない我が家にもマスクの在庫が出来始めた。さて宅配や隣人から届いたマスク。皆さんは洗わずにそのまま使いますか?

 縫製工場で作られた汎用的なマスクや衣類は検品で異物の混入がチェックされているとはいえ、洗濯や消毒が行われているわけではない。「新品の衣類は必ず洗濯してから袖を通す」というベテランの縫製技術者の話を持ち出すまでもなく、衣類の生産現場を見れば、新品をそのまま着用するのはためらわれる。袋から出した真新しい服を羽織るのは気持ちがいいものだが。野菜のように洗った方が無難。



この記事に関連する記事