《めてみみ》たくましい子供たち

2020/03/12 06:24 更新


 卒業式に向かうのだろう。袴姿の女性の姿が華やいで見えた。新型コロナウイルスの影響で多くの卒業式が中止になる中、何らかの方法で卒業イベントができることになったのだろう。すごくうれしそうだ。

 昨年の香港経済は厳しかった。米中貿易摩擦、反政府デモの影響で実質GDP(域内総生産)は前年比1.2%減少し、リーマンショック以降、10年ぶりにマイナス成長に陥った。

 香港では03年に新型肺炎SARSが広がり多くの方が亡くなった。香港人はその教訓から家に閉じこもり、政府は中国本土との行き来をできる限り制限するなどの対策を講じ、観光客は激減した。

 幼稚園や小中高校も1月下旬の春節(旧正月)から4月19日までの休校が決まっている。香港の日本人学校香港校小学部は卒業式を中止した。しかし、「子供たちの門出の証しである卒業証書を児童一人ひとりに手渡したい」と卒業証書授与式を行った。日本に残る生徒など全員ではなかったが4、5人ずつのグループに分かれて式を行ったと卒業生の親である駐在員が教えてくれた。「子供の最高の笑顔を見られた。デモや新型肺炎と色々なことがあるが、子供たちはたくましく受け入れながら成長していると思う」と、無理して参加してよかったと喜んでいた。試練は続く。大人もたくましく乗り越えていきたい。



この記事に関連する記事