20年春夏レディスのデザイナーコレクションは、ニューヨーク、ロンドンに続きミラノへと舞台を移した。いつになく秋の気配が訪れない各都市で、けなげに秋物をまとって会場に現れる観客たちがほほ笑ましい。ストリートスナップのために、ショー会場前に陣取ったカメラマンの期待に応えるのも大変だ。
インフルエンサーと呼ばれるスナップ常連の人たちが、最新のコレクションで写真に収まる。その多くはブランドからのギフトやレンタル。かつてのスナップだったら、もっと個人の自由な発想がリアルに感じられた。それぞれのアイデアが持つライブ感が、ファッションはランウェー上だけではないと感じさせてくれた。しかし、SNS時代ともなると、ストリートスナップでさえ、ブランド側のマーケティング戦略に組み込まれている。
肝心の春夏トレンドはというと、安らぎやリラックスといった優しいキーワードが浮上している。チューブトップやカットアウトで描くランジェリーのようなスタイルも広がった。ビクトリアンの要素を取り入れたラインも増えている。
この後のミラノ及びパリ・コレクションでは、どういった流れが生まれてくるのだろうか。ショー会場の内側と外側でストリートとモードの変遷を感じながら、これからのファッションの在り様に思いをはせる。